東方書店

東方書店：日中文化交流を支える老舗書店

東京都神田神保町に本店を置く東方書店は、中国関係書籍を専門とする老舗書店です。ライトグレーの4階建てビルに、2万冊に及ぶ日本で発行された中国関連書籍と、同じく2万冊の中国・台湾からの輸入書籍を常備し、その規模と専門性から高い知名度を誇っています。関西支社として大阪府吹田市にも拠点を持ち、全国規模で中国関連書籍の流通を支えています。

歴史：日中出版文化交流の架け橋

東方書店の歴史は、1951年設立の前身である極東書店に遡ります。1966年、極東書店から中国部門が独立、株式会社東方書店が設立されました。創業以来、日中間の出版文化交流を促進することを理念として掲げ、その活動は単なる書籍の売買を超えた重要な役割を果たしてきました。

創業者の安井正幸氏と福島正和氏は、毛沢東や周恩来といった中国の指導者と交流を持ち、当時の閉鎖的な国際情勢において、中国と西側諸国を繋ぐ貴重なパイプとなりました。1956年には、フランクフルトで開催された図書博覧会での中国国際書店との出会いが、東方書店が中国書籍の出版事業に参入するきっかけとなりました。この出会いは、中国が国際社会との情報交流を必要としていた時代背景と、東方書店が持つ書籍流通網が見事に合致した結果であり、中国の建設と発展に貢献することになりました。同時に、日本では中国を紹介する重要な窓口としての役割も担いました。

2014年には、長年にわたる中国書籍の出版・販売活動が認められ、人民大会堂にて「中華図書特殊貢献奨」を受賞。日中文化交流への貢献が改めて高く評価されました。

出版活動：多様なジャンルの書籍を出版

東方書店は、書籍販売だけでなく、出版事業も積極的に展開しています。中国語、広東語、台湾語、韓国語といった言語の辞典やテキスト、参考書をはじめ、中国をテーマとした『東方選書』シリーズなど、幅広いジャンルの書籍を出版しています。教養啓蒙書から専門書まで、その内容は多岐に渡り、中国に関する多角的な情報を提供しています。

月刊誌『東方』：中国研究者の重要な情報源

1975年9月に創刊された月刊誌『東方』は、当初は東方書店のPR誌として、中国の図書情報を中心に発信していました。しかし、その活動は、学術的な書評や中国関連のエッセイを豊富に掲載することで、中国研究者にとって貴重な情報源となりました。長年にわたり多くの研究者から支持されてきましたが、近年は購読者数の減少などを背景に、2021年より隔月刊へと移行。2021年6月には紙媒体での発行を休刊し、現在はweb版「WEB『東方』」として公開されています。

現在と未来：進化を続ける中国書籍の専門家

今日、東方書店は、単なる書籍販売会社という枠を超え、日中文化交流の重要な担い手として、その歴史と実績を積み重ねています。時代に合わせて変化を続けながらも、創業以来の理念を堅持し、これからも中国関連書籍を通じて、日中両国の理解と友好に貢献し続けることでしょう。多様な情報ニーズに応えるべく、オンライン販売にも注力し、中国に関する情報をより多くの人々に届ける努力を続けています。

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