東日本旅客鉄道労働組合

東日本旅客鉄道労働組合：激動の軌跡と現在の姿

東日本旅客鉄道労働組合（JR東労組）は、JR東日本の労働組合として1987年に結成されました。国鉄分割民営化という激動の時代を経て誕生した同組合は、当初JR東日本と協力関係を築き、国鉄改革を共に推進しました。しかし、2018年の春闘を機に、組合と会社との関係は大きく変化します。

春闘を巡る対立と大量脱退

2018年の春闘で、JR東労組は「定額ベア」を要求。これは、個々の給与水準に関わらず、全員に同じ金額の昇給を要求するというものでした。この要求はJR東日本経営陣にとって受け入れ難く、両者の対立は深まりました。ストライキ予告が行われる事態に発展し、それまで良好だった労使関係は崩壊。労使共同宣言は破棄され、組合員数の大幅な減少という結果を招きました。2月には約4万7000人だった組合員数は、わずか1ヶ月で約3万3000人に激減。その後も脱退は続き、組合員数は大きく減少しました。この大量脱退劇は、組合員の不満の蓄積と春闘における組合側の対応への不信感、高額な組合費などが要因として挙げられています。組合側は、会社からの不当な圧力があったと主張していますが、会社側はこれを否定しています。

組合の綱領と活動

JR東労組の綱領には、労働条件の改善、鉄道労働者の使命感の涵養、組合員利益の擁護、平和な社会の実現などが謳われています。組合は、連合傘下のJR総連に加盟し、労働運動の統一と発展に貢献することを目指しています。しかし、その活動は常に批判や問題と隣り合わせでした。

浦和電車区事件

2000年には、浦和電車区で勤務していた運転士に対する嫌がらせ事件が発生。同僚組合員による集団的な威圧と強迫により、運転士は組合を脱退し、最終的には会社を退職に追い込まれました。この事件は、JR東労組の内部の権力闘争と、組合員の行動の行き過ぎを浮き彫りにしました。裁判の結果、組合員7人が有罪判決を受けました。この事件は、JR東日本とJR東労組の関係悪化に拍車をかけました。

組合の分裂

大量脱退と浦和電車区事件を経て、JR東労組は内部の分裂を経験します。2018年には、JR東労組高崎地方本部の元専従者らによって新たな労働組合が結成され、その後も分裂は続き、2020年には「JR東日本輸送サービス労働組合」が誕生しました。これらの分裂は、組合運営に対する不満や、春闘における対応への批判が背景にあります。

革マル派との関係

JR東労組は、革マル派との関係が指摘されてきました。警察庁や政府関係者から、革マル派が組合に浸透しているとの認識が示されていますが、JR東労組側はこれを否定しています。この問題は、組合の政治的立場や活動内容に疑問を投げかけるものです。

結び

JR東労組は、国鉄分割民営化後の激動期を生き抜き、JR東日本の労働組合として重要な役割を果たしてきました。しかし、春闘での対立、大量脱退、浦和電車区事件、組合分裂、そして革マル派との関係といった様々な問題を抱え、その存在意義や活動内容が問われています。現在のJR東労組は、過去の過ちを反省し、組合員の信頼を取り戻すため、改革を進めていく必要があります。今後の動向が注目されます。

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