東日本盲導犬協会

公益財団法人東日本盲導犬協会

設立とその歩み

公益財団法人東日本盲導犬協会は、視覚に障害を持つ方々がより自立した生活を送り、社会に参加できるよう、盲導犬の育成や関係する支援活動を行う団体です。その起源は1974年に遡ります。当時、栃木県立盲学校の教員であった鈴木彪平氏が、同じ志を持つ有志の人々と共に「財団法人栃木盲導犬センター」を設立したことから始まりました。活動範囲の広がりと共に、2009年には名称を「財団法人東日本盲導犬協会」へと変更。その後、2010年12月27日には公益財団法人として新たな一歩を踏み出しました。協会は、現在も設立当初から深い関わりを持つ栃木県立盲学校に隣接する、栃木県宇都宮市福岡町1285に活動の拠点となる施設を構えています。

主な活動内容

協会が取り組む事業は多岐にわたりますが、その中心となるのは、言うまでもなく盲導犬の育成と、必要とする方への無償での貸与です。設立以来2022年までに、およそ300頭もの盲導犬を世に送り出してきました。しかし、一頭の盲導犬を育成するには、およそ500万円という莫大な費用がかかります。また、全ての訓練犬が盲導犬になれるわけではなく、適性を持つのは全体のわずか2～3割程度と言われます。盲導犬としての道を歩めなかった犬たちも、その適性に応じて介助犬やセラピードッグなど、他の形で社会に貢献するキャリアへと転身していきます。盲導犬を提供するだけでなく、利用者の方が安全に盲導犬と共に歩めるよう、きめ細やかな指導を行っています。さらに、視覚障害を持つ方々の自立を支援するため、白杖を使った歩行訓練や、音声読み上げソフトを活用したパソコン操作指導といった生活訓練も実施しています。協会の活動資金を調達するための一環として、チャリティーグッズの販売も行われています。

活動資金の確保と課題

東日本盲導犬協会の運営、特に盲導犬の育成にかかる費用の約9割は、一般の方々からの温かい募金や寄付によって賄われています。このため、社会情勢の変化は活動に大きな影響を与えます。例えば、新型コロナウイルス感染症が流行した時期には、街頭での募金活動などが困難になり、財政的に厳しい状況に直面しました。具体的には、2019年には約5800万円あった寄付金収入が、2020年には約5500万円に減少しました（この数字は2022年1月時点の情報に基づいています）。学校などで行っていた講演収入も減少しました。こうした困難な状況を乗り越えるため、協会は様々な資金調達方法を模索し、実践しています。以前から協会を支援してきた今泉八坂神社（栃木県宇都宮市）は、盲導犬をデザインしたオリジナルの御朱印の初穂料の一部を寄付する取り組みを行っています。また、ふるさと納税の仕組みを活用したクラウドファンディングサイト「さとふるクラウドファンディング」や、一般的なクラウドファンディングも活用し、広く支援を呼びかけています。日本全国には、協会の活動を応援する募金箱が2022年1月時点で2,072個設置されており、多くの人々の支えが集められています。

施設概要

協会施設は、広大な敷地面積3,678平方メートルを有し、その中心となる管理棟は859平方メートルです。敷地内には、事務業務を行う事務所、盲導犬候補となる犬たちが生活し訓練を受けるための犬舎（388平方メートル）、様々なイベントや研修に利用される多目的ホールなどが配置されています。特に心に留めておきたい施設として、慰霊碑があります。これは、使用者と共に歩み、その生涯を終えた盲導犬たちを追悼するために建てられたものです。石の配置にも意味が込められており、左側にある大きな石は盲導犬の使用者を、右側のやや小さい石は盲導犬を表しています。これら二つの石を結ぶように置かれた黒い石には「絆」という文字が彫られており、盲導犬と使用者の強い結びつき、そして盲導犬が使用者と世界を繋ぐハーネスを象徴しています。また、慰霊碑の右手前には、小さな模型のような石が設置されています。これは、視覚に障害がある方が大きな慰霊碑全体の形をイメージしにくいことを考慮し、実際に触れることでその構造や配置を理解できるようにという配慮から設けられたものです。敷地内には、訓練用の合宿部屋も完備されています。ここでは、これから盲導犬との生活を始める方が、パートナーとなる盲導犬と共に一定期間寝泊まりし、共同生活や歩行訓練を行います。初めて盲導犬と生活する方は約2週間、経験のある方は約1週間の合宿を通じて、新しい生活への準備を整えます。

連携する人々や団体

東日本盲導犬協会は、多くの個人や企業、団体からの協力によって活動を支えられています。主な協力団体としては、栃木銀行、ダイドードリンコ、そして前述の今泉八坂神社など、多数の支援者が協会の活動をバックアップしています。こうした連携が、盲導犬育成という社会貢献活動を可能にしています。

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