介助犬とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

介助犬とは

介助犬とは、身体に障害を持つ人の日常生活をサポートするために特別な訓練を受けた犬のことです。盲導犬や聴導犬と並んで、身体障害者補助犬として知られています。

日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、介助犬は障害を持つ人の生活を大きく変える力を持っています。杖の代わりとなって起立を助けたり、手指の代わりとなって物を拾ってきたり、ドアを開けたりといった、日常生活における様々な動作を補助することが可能です。

歴史

介助犬の歴史は、1970年代後半にアメリカで始まりました。ボニー・バーゲン氏が、障害を持つ人と犬との関係性に着目したことがきっかけとなり、介助犬の育成が始まったと言われています。

日本においては、1990年に「パートナードッグを育てる会」が発足し、1992年に初めてアメリカで訓練された介助犬が日本にやってきました。その後、1993年から本格的な訓練が開始されました。

1995年には国産初の介助犬が誕生し、1999年には介助犬が国会に同伴することが許可されました。これらの出来事が、介助犬の法制化に向けた動きを加速させました。

2002年には、「身体障害者補助犬法」が成立し、介助犬の公共施設への同伴が義務化されました。

現状

「身体障害者補助犬法」により、公共施設への介助犬の同伴が義務化されましたが、残念ながら、いまだに介助犬に対する理解は十分とは言えません。

介助犬同伴での入店を拒否されたり、職員採用試験で介助犬同伴での受験を拒否されたりする事例も発生しています。店舗側が「犬アレルギー」や「衛生面」を理由に入店を拒否することがありますが、「身体障害者補助犬法」ではやむを得ない場合は拒否できるとされています。しかし、この「やむを得ない場合」の解釈が曖昧であるため、利用者側が困るケースが後を絶ちません。

また、介助犬の育成事業者数も少なく、育成頭数も伸び悩んでいるのが現状です。育成には多額の費用と専門的な知識が必要であり、課題も多く残されています。

育成事業者

介助犬の育成は、専門的な知識と技術を持つ事業者によって行われています。

育成事業者は、介助犬の訓練だけでなく、医療従事者との連携も重要です。介助犬は、単に物を拾うだけでなく、障害者の身体に負担がかからないように、適切な方法で補助する必要があります。また、介助犬の健康管理やケアについても、専門的な知識が求められます。

育成事業者を選ぶ際には、育成実績や医療従事者との連携状況、貸与後のフォロー体制などをしっかりと確認することが重要です。

課題

介助犬の育成には、多額の資金が必要であり、一頭あたり数百万の費用がかかると言われています。にもかかわらず、育成頭数は少なく、集めた資金と育成頭数が釣り合わないという現状があります。また、一部の事業者による私欲的な散財や、特定団体による一元化の動きも懸念されています。

さらに、介助犬の育成において、障害者自身が関与することが難しいという現状もあります。日本では、介助犬の育成は専門事業者によって行われることが一般的ですが、障害者自身が介助犬の育成に関与できないという状況は、障害者差別に繋がっているという指摘もあります。

介助犬の未来

介助犬は、身体に障害を持つ人にとって、生活の質を向上させるために不可欠な存在です。しかし、現状では、育成頭数が少なく、介助犬を利用したい人が十分に利用できる状況ではありません。介助犬に対する社会的な理解を深め、育成事業者への支援を強化することで、より多くの人が介助犬の恩恵を受けられる社会を目指す必要があります。

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