東昌自動車工業

東昌自動車工業の歴史

概要

東昌自動車工業（とうしょうじどうしゃこうぎょう）は、1958年に設立された日本のオートバイメーカーであり、その活動期間は非常に短命でした。設立は東京発動機（トーハツ）と昌和製作所による共同出資により実現し、それぞれの会社が3000万円を出資しました。その社名は、両社名の名称の一部から取られています。

設立の背景

このメーカーが設立された背景には、当時の市場競争がありました。東京発動機の社長である赤司大介は、本田技研工業が開発しているという画期的な50ccモペットの情報を掴んでいました。しかし、自社にはそれを実現できるリソースが不足していたため、富士銀行の助けを借りて昌和製作所との合弁会社を作る運びとなったのです。これにより、東昌自動車工業はホンダ・スーパーカブよりも早くモペットを市場に投入することができました。

短命な運命

設立当初は東京発動機と昌和製作所が合併することも視野に入れていましたが、技術面や社内の人間関係がうまく機能せず、予定していた目標を達成することができませんでした。特に、東京発動機から派遣された社長と役員の間での対立は致命的であり、結局、二輪車メーカーとしては短命に終わりました。この不振は親会社にも影響し、東京発動機は富士電機の傘下に、昌和製作所はヤマハ発動機の傘下に入る事態に至りました。最終的に1960年には昌和自動車工業が倒産し、東昌自動車工業も廃業となりました。

製造車種

50ccモペット「エコー」（1958年）

東昌自動車工業の初めての製品である50ccのモペット「エコー」は、ライバルのホンダ・スーパーカブよりも3ヶ月早く発売されました。それでも、その販売数は初動で5000台近くを記録しましたが、こちらの車両はリコイルスターターのエンジンを流用したデザインがされており、市場ニーズに完全に応えているとは言いがたいものでした。

125ccスクーター「パンドラ」（1959年7月）

次にリリースされたのは125ccのスクーター「パンドラ」です。このモデルはその独特な形状とキャデラックを模したテールフィンが特徴で、東京発動機製のエンジンを搭載していました。

50ccモペット「エコー」SE-2（1959年）

さらに改良が加えられた「エコー」SE-2モデルでは、エンジンの始動方法がリコイルスターターからセルモーターに変更され、利便性が向上しました。これにより、性能や操作性が改善されましたが、全体的な市場での評価は依然としてスーパーカブには及ばないものでした。

結論

東昌自動車工業は、設立からわずか数年で終了してしまった企業でした。しかしながら、その短い歴史の中での試みや市場での活動は、当時の日本の自動車産業の競争の激しさを物語っています。本メーカーの軌跡は、オートバイ業界における成功と失敗の教訓を今に伝えています。

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