東横イン不法改造問題

東横イン不法改造問題について

東横イン不法改造問題とは、2006年に発覚した、東横インが運営するいくつかのホテルにおける違法な新築及び改造に関する問題です。この発覚は、建築基準法やハートビル法、地方自治体の条例に対する違反が指摘されたことから始まりました。

概要

2006年1月27日、横浜の日本大通り駅近くにある東横イン日銀前店が、建築確認申請後に無許可で改造されていることが確認されました。この改造は、ハートビル法や地域条例に反していることが明らかとなりました。同じ日に、草加市や大阪市、姫路市、鹿児島市、長崎市、島根県においても、その他の東横インのホテルにおいて違法改造が発見されました。特に大阪市では4件のホテルが問題視されました。

発覚後、当時の社長である西田憲正氏は、記者会見で自ら指示したことを認め、無許可での改造や設計図の不正利用についても言及しました。彼は、障害者用の客室が実際には使われておらず倉庫のような状態になっていると述べたうえ、違法改造を「制限速度を少し超える行為」に例えたことが大きな反響を呼びました。これにより、新聞やテレビなど多くのメディアで報道され、社会的な問題として広がりました。

この状況を受けて、様々な障害者団体が抗議を行いました。中でも、日本身体障害者団体連合会は、西田氏に対して謝罪を求めました。2006年2月2日には西田氏が同連合会を訪れ、謝罪を行いました。さらに、問題が発覚したホテルは26の都道府県で80件以上にのぼると報じられました。

法令違反の詳細

続く2月3日には、関連会社が管理する本社ビルも違法改造が発覚し、建築基準法に基づく容積率をオーバーしていることが報じられました。2月6日には、違法なホテルが60件、改造されたホテルが77件であることが確認され、社会的議論がさらに加速しました。

東京法務局により、「身体障害者の移動や利用の自由を脅かす行為」として人権侵害とされ、さらなる改善が勧告されました。また、3月6日には、この問題に関与していた建築士の免許が取り消されるという事態も発生しました。

次第に、静岡など新たなホテルを開業予定だったオーナーが契約をキャンセルする動きも出てきました。5月31日には、株式会社東横インは組織変更を行い、西田氏は社長職から退き、今後は執行役員が事業を運営することになりました。

結果とその後

その後、是正工事が進められたものの、一部のホテルでは改修が完了せず、未改修のまま閉店に至るケースもありました。6月23日には、是正工事の完了が発表されましたが、障害者用施設の健全な形を確保する努力は続いています。

2018年現在、東横インはバリアフリーへの対応が進められ、施設の改善に取り組んでいる状況です。この問題は、障害者の権利尊重や法令順守の重要性を再認識させる契機となりました。

もう一度検索