東横瀬駅

東横瀬駅の概要

東横瀬駅（ひがしよこぜえき）は、かつて埼玉県秩父郡横瀬町に存在した西武鉄道西武秩父線の貨物駅です。この駅は、芦ヶ久保駅と横瀬駅の間にあり、実際には工場への引き込み線として機能していました。

設立の背景

この地域では、武甲山から良質の石灰石が採掘されており、さまざまな鉱山会社が採掘権をもっていました。その中でも、三菱セメント（現在は三菱マテリアル）は横瀬町の西部に採掘権を有しており、新たな輸送ルートを確保しようと西武鉄道の新線である西武秩父線を利用することを決定しました。その結果、1969年（昭和44年）10月14日に西武秩父線の開業と同時に、三菱セメントの横瀬工場内に東横瀬駅が設けられ、セメント輸送が始まりました。

駅の構造と運行

駅の構内は、横瀬駅手前の本線から分岐し、勾配を上がった先にある工場内に入っていました。そのため、扱いとしては途中駅であったものの、実質的には引き込み線としての役割を果たしていました。貨物列車はこの駅を起点に運行され、初めは池袋線の池袋駅や国分寺線の国分寺駅にも接続していましたが、後には池袋線の所沢駅を経由し、武蔵野線の新秋津駅へと延びるルートに変更されました。

当初、駅に乗り入れていた貨車は、三菱鉱業セメントのタキ1900形などでした。また、セメント製造に使う重油も輸送されていましたが、重油運送が終了し、後に燃料が石炭に変わったことから、トラック輸送に移行し、駅の使用が廃止されました。さらに砂利の輸送も行われており、運行ルートが何度か変更された後、最終的には新秋津を経由することとなりました。

貨物輸送の変化

多くの民鉄が貨物輸送を廃止していく中で、西武鉄道は当駅からの列車運行を続けましたが、セメント輸送が減少したため、1990年代に入ると徐々に運行が削減されていきました。1995年（平成7年）秋には正式に撤退の意向を発表し、1996年（平成8年）に貨物輸送が全面的に廃止され、4月1日に東横瀬駅も廃駅となりました。

廃駅後の状況

駅は工場の敷地内に設置されていたため、廃止後はすべての設備が撤去されました。しかし、分岐部や斜面部を含む跡地の一部はトラックヤードに転用された以外は手つかずのまま更地にされており、列車の窓からほんの短い時間、跡地を眺めることができます。

隣接駅

* 西武秩父線
- 芦ヶ久保駅
- 東横瀬駅
- 横瀬駅

東横瀬駅は、短い歴史ながらも西武鉄道の貨物輸送の一端を担った重要な地点となった駅でした。このように、地域の産業と密接に関わりながら、その役割を果たしていたことが伺えます。

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