東武ホキ1形貨車

東武ホキ1形貨車の概要

東武ホキ1形貨車は、かつて東武鉄道が所有していた事業用のホッパ車であり、主にバラストの輸送および撒布に使用されていました。この貨車は、日本国有鉄道（国鉄）のホキ800形を基にした設計であり、合計10両（ホキ1からホキ10）で構成されています。その製造は、主に富士重工業により行われました。

ホキ1とホキ2は1962年2月に製造され、ホキ3は1964年、ホキ4からホキ8は1969年4月に製造されました。これらの貨車は、工事列車や定期的な貨物列車の機関車の後ろに連結されることが多く、東武鉄道の全線で運用されていました。特に本線では北千住から葛生・第三会沢まで、東上線では下板橋から寄居間および越生線の坂戸から越生間が主な運用区間でした。特に東上線に配属された2両は、本線から転属されたもので、他の東上線所属の貨車同様に「東上線常備車」と記載されていました。この理由は、検査が館林機関区内の貨車検修場で行われていたためです。ただし、国鉄との直通運行はありませんでした。

廃車と譲渡の経緯

しかし、1980年代に入り、東上線の貨物列車の廃止や自社の貨物列車の減少、さらに国鉄が貨物輸送を縮小し始めたことが影響し、1988年からホキ1形貨車の廃車が始まりました。この中で6両が他の鉄道会社に譲渡されました。具体的には、秩父鉄道、上毛電気鉄道、茨城交通の3社に、それぞれ2両ずつ移籍しました。

秩父鉄道では、1990年にホキ9とホキ10を受け入れ、ホキ1形貨車として現在も運用されています。上毛電気鉄道では、1987年にホキ3とホキ2を譲受し、ホキ1形貨車として使用されています。この貨車は通常、大胡車両区または新里駅で留置され、春にはデハ100型に牽引されてバラスト散布工事列車に使われることが多いですが、近年は運用されていないようです。茨城交通では、1990年にホキ7とホキ8を導入しましたが、正式な入籍は行われず、機械扱いとして通常は那珂湊駅に留置されています。興味深い点として、これらの車両の車体標記が東武時代のままとなっていることが挙げられます。また、台車に関しては、一般的な国鉄の貨車で見られるTR41Cではない点も特徴です。

結論

このように、東武ホキ1形貨車はその運用が多様であり、特に各種の工事や補修作業に欠かせない存在でしたが、時代の流れにより徐々に運用が減り、他社への譲渡が進んでいきました。これらの貨車がどのように活躍していたか、また現在どのように使用されているかを知ることで、鉄道の歴史をより深く理解することができます。

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