東武モハ5320形電車

東武モハ5320形電車について

東武モハ5320形電車は、東武鉄道にかつて在籍していた電車で、その歴史は1951年に始まります。当初は制御車クハ550形（初代）として製造されたこの車両は、1952年に電動車に改造され、モハ5320形と改称されました。ここでは、この電車の概要や運用の変遷、改造の歴史について詳しく解説します。

概要

モハ5320形は、1951年8月に発生した浅草工場火災を受けて、1951年12月に新たに6両（クハ550 - 555）が製造されました。この新しい車両は、従来のクハ500形からの設計を踏襲しつつ、台枠が新たに設計されたため、全長は18m級に延長され、扉間の窓の数も増えていました。

車両の窓配置はd2D12D3（d：乗務員扉, D：客用扉）であり、内装には片側6脚のボックスシートを配置し、車端部にはロングシートが設置されるセミクロスシート仕様でした。トイレは連結面車端部に取り付けられていました。

車体の塗装は、下半分がライトブルー、上半分がクリームというツートンカラーであり、このデザインは後に特急列車用の車両にも用いられることとなります。台車は新扶桑金属工業製の釣り合い梁式KS-33Lが用いられました。

電動車化改造

この車両は、当初から電動車化が前提とした製造が行われたため、その後クハ552 - 555の4両は制御車としての運用を経ずにすぐに電動車に改造されました。

改造後、モハ5320形5320 - 5323として運用されることとなり、残るクハ550・551も同年11月に電動車化されモハ5324・5325と改番されています。この際、当初は5700系の仕様に従った最新型の電動カム軸式多段制御器を搭載し、新しい技術を取り入れた車両となりました。

編成の変遷

モハ5320形は、その後も様々な編成変更が行われました。例えば、初代5800形への改称に際し、電動車両のクハを追加し、さらに他形式との編成を組むなどして運用されました。また、編成の中に運用されるようになったクハ500形518 - 523なども含まれています。

改造・変更

1958年にはサービス向上のため、室内灯の蛍光灯化や天井の鋼板化が行われました。また、1961年には客室内に天井扇風機が設置され、1954年には直角カルダン駆動装置においてトラブル続きであったため、現場での修正・改良が重ねられることとなりました。最終的には5700系の制御車と台車を交換し、正式に吊り掛け駆動車として運用されることになりました。

晩年と廃止

1974年以降、モハ5800形や関連車両は徐々に更新が進められ、特に5000系への置き換えが急速に行われました。最終的に1975年にはモハ5800-クハ344-モハ5801-クハ345の編成が更新され、モハ5320形は形式が消滅することになります。

電動車化当初から数十年にわたって多くの改造や運用の変更が行われてきた東武モハ5320形電車は、その歴史を通じて多くの鉄道ファンや乗客に親しまれてきました。

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