東武本線

東武本線とは

東武本線とは、東武鉄道の鉄道路線のうち、伊勢崎線・日光線とそれらに接続する路線の総称です。これは、東上線（東上本線・越生線）を除いた、東武鉄道の主要な路線網を指す概念です。特筆すべきは、「東武本線」という名称の路線が実際に存在するわけではないという点です。この名称は、東上線と区別するために便宜上用いられるもので、伊勢崎線（東武スカイツリーライン）の別称でもありません。

成立の背景

東武鉄道は、東上鉄道を対等合併したことにより、相互に接続しない2つの路線網を持つことになりました。この際、旧東上鉄道線を「東上線系」とし、それ以外の元々の東武鉄道線を「本線系」と区別しました。かつて存在した軌道線や熊谷線といった独立路線が廃止された後、東上本線・越生線以外の路線を「本線」として総称するようになりました。

路線網の特徴

東武本線は、東京の浅草駅・押上駅をターミナルとし、日光・鬼怒川温泉・宇都宮・桐生・伊勢崎・佐野・小泉・野田・亀戸・西新井大師方面へ路線を拡大しています。その範囲は、東京・埼玉・千葉・群馬・栃木の1都4県に及びます。

伊勢崎線・日光線を軸として各線が接続し、亀戸線・大師線を除く全線で複数の路線を跨ぐ直通運転が行われています。亀戸線・大師線においても、車両の共通運用がなされています。また、東日本旅客鉄道（JR東日本）・東京地下鉄（東京メトロ）・東急電鉄・野岩鉄道・会津鉄道といった他社線とも直通運転（相互・片乗り入れ）を実施しており、有料・座席指定の特急列車も運行されるなど、関東地方から東北地方南部にかけての広域鉄道網の一翼を担っています。

駅構内や列車内に掲示される停車駅案内図は、本線全線と直通運転先の情報が網羅されており、神奈川県の東急・中央林間駅から福島県の会津鉄道・会津田島駅まで、1都6県に跨る15路線、232駅を一枚に収めた非常に濃密なものとなっています。

路線データ

路線数: 10
総距離: 377.4キロメートル（営業キロ）
駅数: 159

構成路線

伊勢崎線（浅草・押上 - 東武動物公園間の愛称は「東武スカイツリーライン」）
亀戸線
大師線
西板線（未成線）
佐野線
小泉線
桐生線
日光線
宇都宮線
鬼怒川線
野田線（愛称「東武アーバンパークライン」）

廃止路線

矢板線
大谷線
大叶線
会沢線
徳川河岸線
仙石河岸線

かつて存在した熊谷線、伊香保軌道線、日光軌道線、日光鋼索鉄道線、及び未成線の渋川線は、本線系・東上線系のいずれにも属さない独立路線でした。また、かつては西板線が本線系と東上線系を結ぶ路線として計画されていましたが、実現には至りませんでした。そのため、両系統の路線間での車両輸送には、秩父鉄道秩父本線が利用されています。

列車種別

東武本線の列車種別体系は、東上線とは異なります。現行の定期列車種別は以下の通りです。

特別急行（特急）: 特急料金が必要。伊勢崎線、佐野線、桐生線、日光線、鬼怒川線、野田線で運行。
急行: 伊勢崎線、日光線、野田線で運行。
区間急行: 伊勢崎線、日光線、野田線で運行。
準急: 伊勢崎線、日光線で運行。
区間準急: 伊勢崎線、日光線で運行。
普通: 各駅停車

過去には、以下のような列車種別も存在していました。

急行: 急行料金が必要。現在は特急に相当するが、スペーシアよりも格下の車両を使用していた。2006年改正で廃止。
快速急行: 座席指定。2002年改正で廃止。快速の上位列車。
快速: 2017年改正で廃止。中距離仕様のセミクロスシート車を使用。
区間快速: 2017年改正で廃止。現・急行の上位列車。

他社線との連携

東武本線は、多くの他社線と接続しています。以下は、東武本線を補完・延長する存在の他社線です（直通運転はしていない）。

上毛電気鉄道上毛線（赤城）
わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線（相老）
秩父鉄道秩父本線（羽生）
JR両毛線（伊勢崎、佐野、栃木）
* 東京メトロ銀座線（浅草）

その他の情報

東武本線は、関東地方の主要な交通網の一つとして、通勤・通学、観光など、幅広い目的で利用されています。

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