営業キロ

営業キロとは

営業キロ（えいぎょうキロ）とは、鉄道や路線バス、連絡船などの交通機関において運賃を計算するために用いられる距離のことを指します。この営業キロは、キロメートルを基準としているものの、実際の物理的な距離と一致するわけではなく、様々な要因によって異なることがあります。このため、営業キロはしばしば擬制キロとも呼ばれています。

設定方法

一般的には、営業キロは実際の距離、つまり実キロ（じっきろ）を基に設定されるのが基本とされています。しかし、採算が難しい路線や新たに開業する路線の営業キロでは、実際の距離よりも多めに設定されることがあり、このようなケースでは「営業キロ」として扱われます。日本国有[[鉄道]]（国鉄）では、営業キロに関する厳格な基準が存在し、「営業線基準規程」の第7条においてその設定方法が規定されていました。

営業キロの具体的な決定基準

国鉄の定める第7条では、営業キロは以下の規定に従って設定されます。
1. 営業キロは、起点から停車場中心までの実測キロメートルに基づき、キロメートル未満の数値は四捨五入により整えられます。特に、計画がない終端停車場については主要な線路の終端を基準とします。
2. 停車場間の営業キロは、両停車場の営業キロの差によって計算されます。
3. スイッチバック停車場を通過する場合も、途中の停車場本屋と停車場標との間の距離が加算されます。

これにより、営業キロが決まる根拠が明確に示されています。例えば、駅の営業キロは停車場標の位置によって決定され、停車場標は建造物基本構造基準に準じた位置に設置されています。このため、他の技術的要因や運行の実情により、実際の建設距離と営業キロには一定の差異が生じることがあります。

具体的な運用例

営業キロの設定には多様な事例が存在します。旧来の国鉄では、駅の営業キロを決める際には本社の旅客局長が決裁し、現場の管理局が独自に設定することはできませんでした。また、営業キロが設定されていない仮乗降場では、隣接する駅の営業キロが運賃計算に使用されていました。これらの仮乗降場の多くは、国鉄の分割民営化とともに正式な駅に昇格し、営業キロが設定されました。

一方で、阪急電鉄では、1966年から1973年にかけて梅田駅が移転した結果、営業キロ数が変更されましたが、運賃計算では以前の基準が残されるケースもみられます。これは、実際の距離と営業キロが必ずしも一致しない一例です。また、鉄道連絡船の営業キロも実際の距離より短くなることがあり、実際の運賃計算には様々な調整がなされていることが見て取れます。

換算キロ・擬制キロ・運賃計算キロ

営業キロとは異なる概念として、換算キロや擬制キロ、運賃計算キロが存在します。換算キロは、幹線と地方交通線の運賃を計算するために用いられ、営業キロに割り増しを施した数値です。擬制キロはこの方法を採用するJR四国や九州で使用されており、地方交通線の運賃を計算する上で重要な指標となります。

このように、営業キロは交通運賃の計算において重要な役割を果たしており、実際の距離と運賃との関連性を理解するための基礎知識となります。

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