東武200形電車 (軌道)

東武200形電車の概要

東武200形電車は、1954年に日光軌道線の輸送力を強化するために新製された路面電車です。この車両は、100形電車の近代化計画の一環として導入され、多客時の利便性を高めるために収容力の向上が図られました。具体的には、6編成が宇都宮車輌および汽車製造東京支店で製造される形で、日光軌道線を支える重要な役割を果たしました。

車体のデザインと構造

200形電車は、湘南型の正面を持ちながらも、基本的な構造は100形に類似しています。この車両の最大の特徴は、2車体3台車の連接構造によって収容人数が150名に増加した点です。広幅の貫通路を備えた連接部分は、円形の特殊形状を持ち、一体感のある車内を実現しました。

車両には片側に3か所の客用扉があり、客用窓の配置は左右非対称となっています。そのため、車掌台側には乗務員扉が設けられ、具体的な窓配置が工夫されています。客用扉は運転台寄りに2枚連接構造の引戸があり、その他は通常の1枚引戸です。側面窓枠には木製の二段窓が採用されています。

車内はロングシート仕様で、内部は白熱灯に照らされた木製ニス塗りの内装やリノリウムの床によって快適さが考慮されています。また、車体は淡緑色に朱色の帯が特徴であり、側面窓枠も同じ朱色で塗られています。

主な機器と性能

200形の主電動機は東洋電機製造製の直流直巻式整流子電動機で、補極付きのTDK-532A-C型が搭載されています。この電動機は合計4基を使用しており、連接車特有の構造により出力を強化しています。間接自動制御方式が採用されたため、速度調整もスムーズに行なわれ、勾配対策として電気制動も装備されています。

台車には住友金属製のKS-40Jが使われており、堅牢な設計により安定感を持った走行が可能です。特筆すべきは、ブレーキ装置の設計で、これにより安全性が向上しています。また、集電装置は追従性を持たせたBC-3ビューゲルが採用されています。

運用と歴史

運用開始後は通学・通勤、観光輸送に対応して幅広く使用され、特に団体輸送時にはその大きな収容力が活かされました。運転員は初め、立って運転していましたが、安全面を考慮し、急速に座って運転する方式に変更されました。車掌は2名体制で、客の扱いや扉の操作を分担して行っていました。

しかし、1968年に日光軌道線が廃止されると、全車両が廃車となりました。中でも203号車は特別に民間に引き取られ、東武動物公園や東武博物館に展示され、現在も静態保存されています。これにより、歴史的な価値が保たれているのです。

まとめ

東武200形電車は、その先進的な設計と大容量の収容力で日光軌道線の運行を支えました。特殊な構造やデザインは、今でも多くの鉄道ファンを惹きつける魅力を持っています。

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