東武ED5010形電気機関車

ED5010形とED5050形

ED5010形とは、かつて東武鉄道で運行されていた貨物用電気機関車です。この機関車は、1957年から1962年にかけて製造されたもので、日本の鉄道史において重要な位置を占めています。また、ED5010形とほぼ同時期に登場したED5050形についても触れます。

ED5010形の経緯

東武鉄道では長い間、蒸気機関車を主力として貨物輸送を行っていましたが、1955年に貨物輸送の電化計画が決定され、社内で新たな電気機関車の製造が開始されました。ED5010形は、その計画に基づき日立製作所で製造されたもので、14両が製造されています。この機関車の特徴として、ED5000形をベースにした構造があり、ED5000形よりも短い車両設計になっています。ただし、製造された年によっては細部に違いが見られます。

ED5010形の特徴

ED5010形は、1次量産型と2次量産型に分かれていますが、一つの目立つ特徴は、車体下部の台枠が外部に露出していることです。全車両は茶色の塗装が施され、デッキ部分は黄色で、正面にはゼブラ模様が描かれています。前照灯は初めシールドビーム2灯化されました。

1次量産型

1次量産型は、ED5011からED5015までの5両で構成されています。この型の外観的な特徴としては、車体側面に4個のベンチレーターが取り付けられ、正面窓が3つあり、ほぼ同じサイズと位置に配置されています。これらの機関車は、東上線用に坂戸機関区に配置されましたが、ED5011は後に杉戸機関区へ転属されました。

2次量産型

2次量産型は、ED5016からED5024までの9両から成ります。外観上は、車体側面のベンチレーターが2個とし、正面窓は乗務員扉の窓がやや低めになっています。この型も最初は杉戸機関区に揃って配置されましたが、ED5016とED5017は後に坂戸機関区に転属されました。

廃車とその後

ED5010形は、貨物輸送の減少に伴い早期に廃車されました。ED5011は1984年1月末に、ED5014とED5015は1984年9月に、ED5012とED5013は1986年3月にそれぞれ廃車となりました。その後、ED5016からED5021までの6両が1986年10月31日に廃車となり、残った3両も1987年に形式消滅しました。

保存車両

現在、ED5010形の保存車両として、ED5015が東武博物館に展示されています。この機関車は廃車後に整備され、ヘッドマークも取り付けられました。一方、ED5020は杉戸町の公園で保存されていますが、状態は悪化しており、窓はすべてトタンでふさがれています。

ED5050形について

ED5050形は、ED5010形と同じく1957年に日立製作所で製造された電気機関車です。ED5010形の初期型に近い車体構造を持ち、当時としては革新的な1台車1モーターの仕様が採用されました。しかし、性能面やメンテナンスの難しさから僅か2両が製造された後は生産が打ち切られました。

その後もED5051とED5052はそれぞれ杉戸と坂戸機関区に配置されましたが、1981年に廃車され、その後の保存状況はED5052が雨ざらしの環境にさらされ、状態が悪化して2002年に解体されました。

性能諸元

ED5010形の性能は、全長12,000mm、全幅2,740mm、全高3,995mm、重さ45.5トンといった仕様で、直流1500Vの電気方式を用いています。主要機関としてMT40形を4基搭載し、定格出力は568kWに達します。

ED5050形も同様の寸法ですが、主電動機はHS860A形を用いています。ED5050形もまた、定格出力660kWの高性能な機関車として設計されていました。

これにより、ED5010形とED5050形は、鉄道界における重要な役割を果たしていたことがわかります。

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