東江康治

東江康治：教育と平和への情熱を生涯貫いた教育心理学者

東江康治（あがりえ やすはる、1928年9月10日 - 2015年4月5日）は、日本の教育心理学者であり、名桜大学の名誉学長、元琉球大学学長です。沖縄県名護市に生まれ、激動の時代を生き抜き、教育者として沖縄の発展に大きく貢献しました。

戦争体験とアメリカ留学

太平洋戦争末期の沖縄戦では、10代で鉄血勤皇隊に動員され、米軍の攻撃により右胸を撃ち抜かれるという壮絶な体験をしました。奇跡的に一命を取り留めたものの、この経験は東江の人生に深い影響を与えました。また、当時アメリカ兵として沖縄に上陸した兄フランク・ヒガシとの兄弟が敵味方に分かれて戦うという悲劇も経験しました。

戦後、米政府の援助を受けアメリカへ留学し、アイオワ大学で教育心理学を学びました。この留学経験は、後の東江の教育者としての活動の基盤となりました。

教育者としてのキャリア

帰国後、琉球大学で教鞭を執り、1970年には教育学部教授に就任しました。その後、1973年には教育学部長、1984年から1990年まで学長を務め、琉球大学の発展に大きく貢献しました。特に、教育心理学の研究と教育に力を注ぎ、多くの学生を育成しました。

また、沖縄県名護市の名桜大学の設立にも尽力し、1994年から2000年まで初代学長を務めました。名桜大学では、平和論の講座を設けるなど、平和教育に力を入れました。これは、自身の戦争体験から得た平和への強い思いが反映されたものでした。

幅広い社会活動

東江は、教育者としての活動以外にも、様々な社会活動に積極的に参加しました。地域レベルの国際交流を考える会委員や、りゅうぎん国際化振興財団理事、沖縄振興開発審議会会長などを歴任しました。また、沖縄県内の様々な委員会の委員長や委員を務め、沖縄の発展に尽力しました。特に、沖縄の基地問題や環境問題など、難しい問題にも積極的に取り組みました。

受章と晩年

2005年には、長年の教育への貢献が認められ、瑞宝重光章を受章しました。これは、教育者としての東江の功績を国が認めた証です。

2015年4月5日、肝臓癌のため86歳で亡くなりました。東江の生涯は、戦争という悲劇を経験しながらも、教育を通して平和を追求し続けた教育者の鑑として、多くの人々に記憶されるでしょう。

東江康治の年譜

1928年 - 沖縄県国頭郡名護町（現・名護市）東江に生まれる。
1944年 - 鉄血勤皇隊に編入される。
1945年 - 沖縄県立第三中学校（現・沖縄県立名護高等学校）卒業。
1950年 - アイオワ大学に留学。
1954年 - アイオワ大学文理学部心理学科卒業。
1970年 - 琉球大学教育学部教授に就任。
1984年 - 琉球大学学長に就任。
1994年 - 名桜大学初代学長に就任。
2005年 - 瑞宝重光章を受章。
2015年 - 肝臓癌のため死去。

主な社会的活動

地域レベルの国際交流を考える会委員
（財）りゅうぎん国際化振興財団理事
沖縄振興開発審議会会長
沖縄県生涯学習審議会会長
辺野喜楚洲線環境検討委員会委員長
新石垣空港建設位置選定委員会委員長
名護サミット推進市民会議副会長

著書

『保育入門シリーズ 第14巻 乳幼児の生活指導』(編さん) (1979) 北大路書房

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