名護町

名護町の歴史と変遷

名護町は、かつて沖縄県国頭郡に存在した町で、現在の名護市中心部および南西部に相当します。その歴史は、1673年に名護間切から久志間切が分離したことに始まり、1896年の郡区制で国頭郡に編入されました。

1908年4月1日、島嶼町村制の施行により名護村となり、その後1924年2月1日に町へ昇格しました。しかし、1946年には町北西部が屋部村として分離しました。その後、1970年8月1日に屋部村、羽地村、久志村、屋我地村と合併し、名護市が発足したことで、名護町としての歴史は幕を閉じました。町役所は東江に置かれていました。

山原地域の中心地としての発展

明治時代以降、名護町は沖縄本島北部、いわゆる山原地域の政治・経済の中心地として発展しました。那覇市と名護港を結ぶ海上交通が盛んで、山原各地への移動の中継地としての役割も担っていました。20世紀には那覇との間に県道（現在の国道58号）が開通し、陸上交通の拠点としても重要になりました。主な産業は農業や林業でしたが、商業や運輸業も盛んでした。また、日本本土や海外への出稼ぎや移住も多かったとされています。

沖縄戦では中南部ほど大きな被害は受けなかったものの、住民は山奥への避難を余儀なくされました。戦後、復興を急ぐため、町北西部の集落が屋部村として分離されました。

戦後は山原の中心地としてさらに発展し、琉球政府の出先機関が設置されました。市街地には住宅や商店が立ち並び、1957年にはオリオンビールの工場も東江に建設されました。道路網は那覇市と結ぶ1号線を中心に整備されました。

1960年代から北部地域の中核としての機能を強化するため、周辺の村との合併が進められました。そして1970年、屋部村、久志村、羽地村、屋我地村の4村と合併し、名護市が発足しました。名護町役所は名護市役所として利用されましたが、1981年に現在の港1丁目に移転し、建物は名護博物館として利用されています。

名護町の地域

合併まで名護町だった地域は、現在では名護市の一部となっています。主な地域として、以下のものがあります。

大兼久（おおがにく）: 現在の名護。
東江（あがりえ）: 1～5丁目。
大北（おおきた）: 1～5丁目。
大中（おおなか）: 1～5丁目。
大西（おおにし）: 1～5丁目。
大東（おおひがし）: 1～4丁目。
大南（おおみなみ）: 1～4丁目。
城（ぐすく）: 1～3丁目。
港（みなと）: 1・2丁目。
宮里（みやざと）: 1～7丁目。
喜瀬（きせ）
許田（きょだ）
幸喜（こうき）
数久田（すくた）
為又（びいまた）
世富慶（よふけ）

戦後、屋部村として分離した地域は以下の通りです。

旭川（あさひかわ）
安和（あわ）
宇茂佐（うむさ）
勝山（かつやま）
中山（なかやま）
屋部（やぶ）
山入端（やまのは）

隣接自治体

名護町に隣接していた自治体は以下の通りです。

戦前（1924-1946）：久志村、羽地村、本部町（当時は本部村）、今帰仁村、恩納村、金武村（現在の金武町・宜野座村）。
戦後（1946-1970）：屋部村（現在の名護市）、久志村（現在の名護市）、羽地村（現在の名護市）、恩納村、宜野座村。

名護町の自然

名護町には、以下のような自然環境があります。

名護湾
名護岳
久志岳
多野岳

合併後の名護市

合併後は、北部の中核都市としての機能がさらに高まりました。1975年の沖縄海洋博覧会を機に道路網が整備され、沖縄自動車道が開通しました。また、国道58号も4車線道路に整備され、交通の便が大幅に向上しました。1980年代には名護バイパスが開通し、名護以北の山原地域へのアクセスが容易になりました。市役所や警察署などの公共機関も国道沿いに移転し、市街地の開発が進みました。1987年には沖縄自動車道が那覇まで開通し、那覇市への所要時間が大幅に短縮されました。

1990年代には、名桜大学が開学し、学生向けのアパートが建設されました。また、大型スーパーや商業施設が国道58号沿いに進出し、都市化が進みました。恩納村に近い部瀬名地区にはリゾートホテルが建設され、名護市街地にも都市型ビジネスホテルが増えました。

2000年には、主要国首脳会議（サミット）の首脳級会議が部瀬名岬の万国津梁館で開催され、国際的な注目を集めました。しかし、名護市街地では空洞化も進み、空き店舗が増えるという問題も抱えています。

現在の名護市は、人口が旧名護町域に集中しており、他の山原地域との格差が大きくなることが懸念されています。

交通

名護市には、以下の道路が整備されています。

沖縄自動車道：許田インターチェンジが起点。
国道58号：名護バイパス、名護東道路（地域高規格道路）も含む。
国道329号
名護横断道路
国道449号：本部循環線、名護バイパスも含む。
沖縄県道71号：名護宜野座線。
沖縄県道84号：名護本部線。
沖縄県道91号：本部循環線。
沖縄県道18号線
沖縄県道118号線

路線バスは、名護バスターミナルを発着し、沖縄本島北部各地や那覇・中部各方面へ運行しています。名護バスターミナルは、かつて名護十字路にありましたが、1958年に港1丁目に統合され、その後1970年代後半に港2丁目、1980年代半ばに現在の宮里に移転しました。

学校教育機関

名護市には、以下の学校があります。

名桜大学
北部地区医師会北部看護学校
沖縄県立名護高等学校
沖縄県立名護商工高等学校
名護市立名護中学校
名護市立東江中学校
名護市立大宮中学校
名護市立名護小学校
名護市立東江小学校
名護市立大宮小学校
名護市立瀬喜田小学校
名護市立大北小学校

公共施設

名護市には、以下の公共施設があります。

国の機関：名護合同庁舎、沖縄気象台名護測候所、名護海上保安署、那覇地方法務局名護支局など。
沖縄県の機関：北部合同庁舎、沖縄県立北部病院、北部福祉保健所など。
名護市の機関：名護市役所、名護市民会館、名護市立中央図書館、名護博物館など。
その他：北部生涯学習推進センター、名護警察署、名護市消防本部、ハローワーク名護など。

主要施設

名護市には、以下の主要施設があります。

名護漁港
名護バスターミナル
名護郵便局
沖縄海岸国定公園
沖縄海中公園
ザ・ブセナテラスリゾート
万国津梁館
道の駅許田
名護自然動植物公園
オリオンビール名護工場
ヒンプンガジュマル

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