東洋大学朝霞キャンパス

東洋大学朝霞キャンパス（とうようだいがくあさかキャンパス）は、埼玉県朝霞市岡に所在する東洋大学のキャンパスです。広大な敷地を有し、主に生命科学部、食環境科学部の学び舎となっています。

概要

このキャンパスは埼玉県朝霞市岡48番地1に位置しています。設立当初は、文学部、経済学部、経営学部、法学部、社会学部といった文系5学部の1・2年次生が教養課程を学ぶための拠点として計画・整備されました。しかし、2005年にこれら文系学部が白山キャンパスへ統合移転されたことに伴い、ライフデザイン学部のキャンパスとして使用されるようになります。キャンパスの正式な所在地表記も、2006年4月1日には旧1号館の住所から、東洋大学朝霞事務部が置かれた朝霞図書館研究管理棟の住所（岡48-1）へと変更されました。文系5学部が移転して以降、旧1号館および旧3号館は大学施設としての利用を終えています。

2020年度まで、朝霞キャンパスにはライフデザイン学部と、大学院福祉社会デザイン研究科のヒューマンデザイン専攻が置かれていました。ライフデザイン学部と大学院は2021年4月に赤羽台キャンパスへ移転しましたが、2024年には新たな動きとして、板倉キャンパスにあった生命科学部・食環境科学部と、川越キャンパスにあった理工学部生体医工学科がこの朝霞キャンパスへ移転してきました。

歴史

東洋大学が文学部のみの単科大学から、多分野を網羅する総合大学へと発展する過程で、既存キャンパスの狭隘化は大きな課題となりました。当初は工学部を含む全ての学部を白山に集約する構想もありましたが、面積的な制約から断念。川越市長の誘致により工学部は川越市に設置されることとなりました。その後、文系学部の拡充に伴い、各学部の教養課程を分離する必要が生じました。当初は川越キャンパスを充てる計画でしたが、学生運動の影響により実現せず、経営学部設置認可の前提であった教養課程分離を早急に進める必要に迫られます。こうして、朝霞市郊外、黒目川沿いの広大な土地が地権者から譲渡され、朝霞キャンパスの整備計画がスタートしました。

計画当初は、現在の講義棟（旧2号館）がある敷地のみで整備を進める予定でした。しかし、建設予定地が市街化調整区域であったため、区域変更や特例的な建築許可が必要となりました。大学側は早期の許可を期待していましたが、河川整備が進んでいなかった黒目川沿いという立地から国の許認可が難航し、計画は遅延します。経営学部設置認可の特認を得るためには新キャンパス開設が急務であったため、急遽、市街化区域内の土地を取得して旧1号館を建設。1977年からは、文系5学部の教養課程（文学部は一部講義のみ）が朝霞キャンパスで開講できるようになりました。その後、特例認可が下り、旧2号館が建設されたことで、キャンパスとして本格的な運用が開始されます。

開設当初は郊外型キャンパスが人気を集め、良好な環境の朝霞キャンパスは東洋大学の志願者増加に貢献しました。しかし、バブル崩壊後の受験生の都心回帰傾向や、大学全入時代の到来により、朝霞と白山に機能が分散していることが不利に働きます。これに対応するため、東洋大学は白山キャンパスの再開発に着手し、近隣地の取得を進めて2005年に再び文系5学部を白山に集約しました。

当初、市街化調整区域ゆえの拡張困難性を抱える朝霞キャンパスは、体育施設やサークル施設を残して教育・研究機能を廃止・解体する計画もありました。しかし、学生数の減少による地域経済への影響を懸念した朝霞市から、キャンパス機能の維持を求める陳情が複数回行われます。朝霞市による学生向けの道路整備など、これまで築かれてきた市との良好な関係を考慮した大学側は、新たな学部を設置することで教育・研究機能を維持することを決定。2005年の文系5学部白山集約と同時に、ライフデザイン学部を朝霞キャンパスに設置しました。

しかし、少子化やいわゆる「2018年問題」の影響もあり、2017年9月にはライフデザイン学部（大学院を含む）を拡張した赤羽台キャンパスへ2021年を目途に移転させることが発表されました。そして、2024年には板倉キャンパスから生命科学部・食環境科学部が、川越キャンパスから理工学部生体医工学科が朝霞キャンパスへ移転し、現在の体制となっています。

キャンパスの敷地の一部は、時代の変化と共にその姿を変えています。2015年11月には、旧3号館の跡地にヤオコー朝霞岡店がオープン。また、2018年1月には、旧4号館、旧総合体育館、旧テニスコートの敷地に、名称をTMGあさか医療センターと改めた朝霞台中央総合病院が新築移転し、446床を備える新たな病院が開設されました。

設置学部・大学院

2024年度より、以下の学部・大学院が設置されています。

生命科学部
生命科学科
生体医工学科（理工学部より移転）
生物資源学科（応用生物科学科より改称）
食環境科学部
食環境科学科
フードデータサイエンス学科（食環境科学科フードサイエンス専攻より改称）
健康栄養学科
大学院
生命科学研究科
生命科学専攻
生体医工学専攻
食環境科学研究科
食環境科学専攻

施設

現存する主な施設

講義棟（旧2号館）: キャンパスの中核をなす3階建ての建物で、大講義室や少人数教室、LL教室などを備えています。ライフデザイン学部開設時には一部が実習室に改装されました。地下にはかつてサークル部室がありましたが、現在は使用されていません。
情報実習棟（旧5号館）: 情報処理演習のために建てられた3階建ての校舎です。コンクリート打ち放しのデザインは、東洋大学卒業生によるものです。
研究管理棟: 東洋大学朝霞事務部が入る3階建ての建物です。当初は事務部のほか、文学部・社会学部専任教員の研究室も置かれていました。
大学院・研究棟（旧研究指導棟）: 専任教員の研究室と大学院の講義室があります。文系5学部が朝霞に置かれていた時代に、研究室不足を解消するために新設された5階建ての建物で、1階は屋外広場となっています。現在はライフデザイン学部の全専任教員の研究室がここに集約されているほか、大学院の演習室などとしても利用されています。
図書館棟: 東洋大学附属図書館朝霞分館が入居する3階建ての建物です。特徴的な2階からの入場形式となっています。建物の地下には学生食堂があり、過去にはTBS系のドラマ「HOTEL」の撮影に使用されたこともあります。
コミュニティセンター: 公認サークルや体育会各部の部室が入る4階建ての学生会館です。多目的ホールや会議室、練習室、音響室などが設けられています。
人間環境デザイン学科実験工房棟（旧研究室棟）: ライフデザイン学部新設時にリフォームされ、2009年にはBELCA賞ベストリフォーム部門を受賞した建物です。
総合体育館: 2014年に竣工した新しい体育施設です。アリーナやトレーニングルームに加え、ライフデザイン学部の実習室も設置されています。

かつて存在した施設

旧1号館: キャンパス初期に建設された校舎で、最も古く駅から遠い位置にありました。取り壊され、跡地は民間のマンションになっています。かつては新学期に教科書販売が行われていました。
旧3号館: 市街化調整区域での増築制約を回避するため、急遽市街化区域に取得した土地に建てられた校舎です。大講義室や生協、食堂が入っていましたが、現在は取り壊され、跡地にはヤオコー朝霞岡店が建っています。
旧4号館: プレハブ構造の校舎で、体育科目の講義や社会学部の演習、後に音楽系サークルの練習場として使用されました。取り壊され、跡地は旧総合体育館などと共に売却され、TMGあさか医療センターの敷地の一部となっています。
旧総合体育館: 剣道場、柔道場、トレーニングルームなどを備え、体育系講義や体育会活動に利用されました。学生・教職員は講習を受ければトレーニングルームを自由に利用できました。旧4号館跡地などと共に売却され、TMGあさか医療センターが建っています。
旧テニスコート: 旧総合体育館の隣、東武東上線沿いにありました。体育系講義やテニスサークルに利用され、跡地は他の売却地と共にTMGあさか医療センターの敷地の一部となっています。

特徴

開設当初は文系学部の教養課程キャンパスだったため、体育施設や語学学習用の少人数教室が充実していました。現在も敷地の一部が市街化調整区域に含まれているため、周辺開発が進みにくい一方で、キャンパス自体の拡張にも制約があり、再開発計画の遂行に影響を与えています。5階建ての大学院・研究棟は、東武東上線の車窓からもよく見え、朝霞市北部におけるランドマークの一つとなっています。

アクセス

JR武蔵野線北朝霞駅東口、または東武東上線朝霞台駅東口より徒歩約10分。
* 朝霞台駅・北朝霞駅・朝霞駅東口から朝霞市内循環バスわくわく号・根岸台線に乗車、「朝霞市斎場」停留所下車後、徒歩約1分。

もう一度検索