大学全入時代

大学全入時代とは

大学全入時代とは、大学への入学を希望する人の総数が、大学の入学定員総数を下回る状態を指す言葉です。文部科学省も使用しており、2024年頃に日本でこの状況が到来すると予測されています。

大学全入時代の現状と影響

大学全入時代は、大学教育の質の低下、定員割れによる大学の経営難、ひいては大学の閉鎖といった問題を引き起こす可能性があります。特に私立大学では、半数以上が定員割れを起こし、4割が赤字経営に苦しんでいる現状があります。

重要な点として、大学全入とは、誰もが希望する大学に入れるわけではなく、浪人生がいなくなるという意味でもありません。あくまで大学全体の定員と入学希望者数の統計的な問題です。

受験生獲得競争の激化

大学全入時代を迎え、大学間での受験生獲得競争は激化しています。各大学は、就職率や取得可能な資格をアピールしたり、オープンキャンパスで無料送迎バスを運行したり、入学金や授業料の免除制度を設けたりするなど、様々な工夫を凝らしています。

しかし、授業料免除による学生の確保は、大学間の競争が教育研究だけでなく、財務状況や経営体力にまで及んでいることを示しています。その結果、学生数を増やすためのマスプロ大学化が進んでいます。

一方、予備校も浪人生の減少に対応するため、現役生向けの対策を強化しています。大手予備校は現役生向けの授業を展開し業績を伸ばしていますが、地方の中小予備校は生徒集めに苦戦しています。

専門学校も同様に、大学全入時代の影響を受けています。大学が職業教育に力を入れるようになったため、専門学校の存在意義が薄れつつあります。

大学の多様化と変化

大学全入時代において、大学は生き残りをかけて様々な戦略を打ち出しています。

入学試験の多様化

AO入試や推薦入試の拡大、地方会場の設置、独自の学部設置など、様々な入試方法を導入しています。これは、大学にとって学生を確保する重要な手段となっています。

大学の合併

大学同士の合併も増加しています。経営統合による経営基盤の強化や、教育資源の集中などが目的です。慶應義塾大学と共立薬科大学の合併は、大学関係者に大きな衝撃を与えました。

公立大学化

経営難に陥った私立大学が、地方自治体の支援を受けて公立大学として再出発するケースが増えています。学費の大幅な減額により、受験生からの人気を集めることが多いです。

留学生の受け入れ

定員割れに悩む大学を中心に、留学生の受け入れを積極的に行っています。

国公立大学への影響

国公立大学は、私立大学に比べて学費が安いため、定員割れの影響は少ないと考えられています。ただし、国公立大学の倍率も減少傾向にあります。

各国の状況

少子化が進む中国、韓国、台湾、ベトナムなどでも、大学の定員割れが問題となっています。各国は、定員削減や留学生の受け入れなど、様々な対策を講じています。

まとめ

大学全入時代は、大学経営に大きな影響を与えています。大学は、教育内容の充実や就職支援の強化、大学のブランド力の向上など、様々な課題に取り組む必要があります。大学を取り巻く環境は大きく変化しており、各大学は生き残りをかけた戦略を打ち出すことが求められています。

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