東洋大学板倉キャンパス

群馬県邑楽郡板倉町泉野に所在する東洋大学のキャンパスです。かつては生命科学部や食環境科学部など、関連する大学院研究科も置かれていましたが、2024年4月以降は全ての学部および研究科が他のキャンパスへ移転し、現在は校舎のみが存在しています。

このキャンパスは、群馬県庁が推進した板倉ニュータウンの開発計画の中心部に開設されました。研究学園都市を目指すニュータウン構想に東洋大学が賛同・協力する形で進出が決定し、1997年に開設されました。大学用地として、現在校舎などが立地するエリアに加え、その北側に広がる未利用地を含めて約33.0ヘクタールもの広大な土地が確保されています。

開設当初から学部・研究科の配置には変遷が見られます。2009年度には設置されていた国際地域学部が東京都内の白山第2キャンパスへ移転しました。一方で、同時期には生命科学部の学科体制が拡充され、生命科学科に加え応用生物学科と食環境科学科（後に食環境科学部として独立）が新設されました。これにより、生命科学分野において、基礎から応用、さらには食品や環境科学といった幅広い領域での教育研究が可能となりました。2010年3月には新実験棟である5号館が完成し、北関東地方では有数の規模を誇る生命科学教育研究機関としての体制が整備されました。

しかし、2020年3月には、生命科学部と食環境科学部を埼玉県の朝霞キャンパスおよび東京都の赤羽台キャンパスへ移転させる計画が発表されました。この計画に基づき、2024年4月をもって板倉キャンパスに設置されていた学部・研究科は全て移転を完了しました。地元である板倉町では、この移転を事実上の大学の撤退と受け止めているようですが、大学側は日本経済新聞の取材に対し、撤退という言葉は使用せず、跡地の多様な利用を含めたあらゆる可能性を検討していく意向を示しています。

最寄りの駅である東武鉄道日光線の板倉東洋大前駅は、当キャンパスの開設に合わせて新設され、その駅名もキャンパス名に由来しています。

キャンパス内には、広大な敷地を活かした様々な施設が配置されています。

1号館: 500人収容の大型教室をはじめ、教員の研究室、医務室、事務室などが集約されています。
2号館: 実験室や研究用の共通機器室が設けられています。また、PC室などもあり、北側の窓からは日光白根山や男体山など、日光周辺の山々を遠望できます。
3号館: 各教室には大型スクリーンが完備されています。学生実習室や産学官連携のための実験室なども設置されており、5号館とは渡り廊下で繋がっています。
4号館: 植物機能研究センター棟と呼ばれ、文字通り植物機能研究センターが入居しています。
* 5号館: 2010年3月に竣工した3階建ての建物で、36室の実験室、18室のコラボレーションルーム、9室の共通機器室を備えています。外壁が全面ガラス張りである点が特徴です。

学修・研究施設の他に、広大な敷地を最大限に活用したスポーツ施設も充実しています。全天候型人工芝のサッカー場と多目的グラウンド、オムニコート3面のテニスコート、体育館、200メートルトラックなどが整備されています。また、キャンパス内には、東洋大学の理事長や総長を務めた塩川正十郎氏の銅像が建立されています。この銅像は、校友会や教職員、地元有志の尽力により建てられたものです。建立当初はメガネが装着されていましたが、現在は外されています。

キャンパス西側には広大な未利用地が広がっており、夏には草木が生い茂る自然豊かな空間となります。草刈りは年に数回程度のため、キジなどの野鳥が多く生息しています。また、キャンパス北側には池があり、近くを流れる渡良瀬遊水池との関連からか、トビやカモ、ノスリといった様々な野鳥が訪れる様子が観測されています。池の周囲には桜が植えられ、整備された公園スペースも設けられています。

アクセスは、東武鉄道日光線の板倉東洋大前駅から徒歩約10分です。

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