東洋学館

東洋学館について

東洋学館（とうようがっかん）は、1884年から1885年にかけて上海で設立された日本人向けの学校です。この学校は、興亜学館（こうあがっかん）、亜細亜学館（あじあがっかん）と名称を変更しながら運営されていました。特筆すべきは、東洋学館が中国における日本人経営の教育機関として、後の東亜同文書院や日清貿易研究所に先立つ存在であったことです。これにより、後の教育機関にも大きな影響を与えました。

設立の経緯

この学校の設立には、1883年頃からの九州改進党関係者による動きがあったとされています。また、中江兆民が発起人の一人として関与したとも言われています。1884年7月には、設立に向けた「綱領」と「趣意書」が作成され、その約1ヵ月後の8月、虹口乍浦路第28号館において学校が開設されました。この地域には多くの娯楽施設があり、開校時には風紀的な懸念もありました。

設立当初の教育計画は、3年から4年の修業年限を設け、商法学、政治経済学、法律学などの専門課程を設けるものでした。また、語学に特化した予科も併設される予定でした。しかし、上海の領事館当局からは真に機能する教育機関との評価は得られず、日本政府からの認可や支援も受けられませんでした。このため、実際にはほとんど専門教育は行われず、語学教育に限られる結果となりました。

教育体制の再編

その後、東洋学館は新たな改革を模索しました。1884年10月、末広重恭（鉄腸）を館長に据えて学校の体制を再編し、現地に大内義映や鈴木万次郎を派遣しました。このため、一時的に学校は閉鎖され、1884年11月には再スタートを切ることになりました。再開後、学校名は興亜学館に変更されましたが、当初の「興亜」の名称に不安を感じる意見が多かったため、再度亜細亜学館へと改称されました。

新しい名称のもとで、学校はアメリカ合衆国の租界内である崑山路第8号館に移転し、正式な開館式を実施しました。亜細亜学館では、イギリス人や中国人の教師も加わり、教育体制を一層整えることが目指されました。また、中国人学生の受け入れも開始し、日本政府への認可申請も行われましたが、残念ながら認可はされませんでした。

解散とその後

1885年9月には学生募集が停止され、さらには財政的困難に直面したことから学館は解散されることとなりました。しかし、関係者の帰国や負債の整理のために政治家の大隈重信が資金を提供しました。

このように、東洋学館は当時の日本人の教育を支える重要な役割を果たしながらも、外的要因によってその活動を制限され、最終的には解散に至った歴史があります。その影響は、以後の教育機関や社会的なネットワークに引き継がれることとなりました。

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