租界

租界とは

租界（そかい、英語: concession）とは、19世紀半ばから20世紀前半にかけて、清国（後の中国）内に設けられた外国人居留地のことです。アヘン戦争後の不平等条約によって、中国各地の条約港に設置されました。租界内では、外国人が行政自治権や治外法権を持つことが認められていました。

租界の成立と拡大

アヘン戦争後の1842年、南京条約によって広州、厦門、福州、寧波、上海の5港が開港され、これを機にイギリスが上海に租界を設置しました。その後、フランスやアメリカも上海に租界を設け、租界は拡大していきました。アロー戦争（第二次アヘン戦争）後の天津条約では、さらに漢口、九江、南京など10港が開港され、これらの都市にも租界が置かれました。1860年の北京条約では天津が開港し、複数の国が租界を設置しました。清朝末期の内乱の拡大に伴い、各国の租界は次第に拡張されていきました。

日本（大日本帝国）は、日[[清戦争]]後の下関条約で開港された蘇州と杭州に1897年、沙市に1898年、重慶に1901年に租界を設けました。日[[清通商航海条約]]の締結後には、上海、天津、漢口、厦門にも租界を開設しました。特に上海については、当局間の交渉が難航したため、後に共同租界となりました。

租界の終焉

1937年に日中戦争が勃発すると、租界は周囲から隔絶された地域となりました。列強諸国は中立を保ちましたが、1941年12月の太平洋戦争勃発により、租界は日本に占領されました。1943年、日本は租借地と占領した他国租界を汪兆銘（汪精衛）の南京国民政府に返還する政策をとりましたが、1945年の終戦によって租界にあった資産は没収され、租界は終焉を迎えました。

専管租界と共同租界

租界には、特定の国が租界権を有する専管租界と、複数の国が進出できる共同租界がありました。共同租界は、中国と最恵国待遇を結んでいる国であれば進出可能でした。

租界と類似する地域

中国国内には、租界以外にも列強諸国が設定した空間的利権が存在しました。

租界: 中国側に主権があるものの、行政権の行使が制限され、外国政府や外国人が長期間貸借している地域。上海共同租界や上海フランス租界が有名です。中国側が警察権や管理権を有する地域は自開商埠（自開租界）と呼ばれました。
租借地: 中国側に潜在的な主権があるものの、租界よりも主権譲渡の色合いが濃い地域。ドイツの膠州湾租借地やフランスの広州湾[[租借地]]などがあります。
鉄道附属地: 1896年に中露間で締結された「東清鉄道建設経営に関する条約」に基づいて設置された地域。
公館区域: 1901年の「義和団事件処理の条約」に基づいて設置された地域。

中国租界一覧

以下は、主な租界の一覧です。

欧州
イギリス: 上海（後にアメリカ租界と合併して上海共同租界）、天津、漢口、広州（沙面島）、鎮江、九江、廈門
フランス: 上海、天津、漢口、広州（沙面島）
ドイツ: 天津、漢口
オーストリア=ハンガリー: 天津
イタリア: 天津
ロシア: 天津、漢口
ベルギー: 天津

アジア
日本: 上海（公式には上海共同租界の一部）、天津、漢口、杭州、蘇州、重慶、沙市

アメリカ
アメリカ: 上海（後にイギリス租界と合併して上海共同租界）、天津

共同管理地域
上海共同租界
鼓浪嶼（コロンス）共同租界

関連事項

租界は、当時の中国社会において複雑な影響を与えました。経済発展の一方で、不平等な権益構造が問題視され、後の中国の民族運動に大きな影響を与えました。

関連事項として、経済特区、外国人居留地、上海租界、天津租界、漢口租界、第二次上海事変、大日本帝国#一部統治区域、租借地、国際管理地域、横浜正金銀行、香港上海銀行、スタンダードチャータード銀行などがあります。

外部リンク

租借地と租界

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