東海大学旭川キャンパス

東海大学旭川キャンパス（とうかいだいがくあさひかわキャンパス）は、北海道旭川市に設けられていた東海大学の教育・研究施設です。東海大学旭川校舎という名称でも知られていました。

このキャンパスは、旭川市街地から北西に離れた、嵐山と石狩川を挟んだ対岸の台地、通称「立岩山」と呼ばれる高台に位置していました。敷地内の広大な緑地には、歴史的な遺構である面崖式のチャシ（砦）跡が存在するなど、自然豊かな環境の中にありました。

沿革

キャンパスの歴史は1970年に始まります。同年3月に建設地が正式に決定し、8月には起工式が行われました。最初の主要な建物である1号館が完成したのは翌1971年11月のことです。以来、約40年以上にわたり、この地で教育活動が展開されました。

当初は東海大学工芸短期大学のキャンパスとして開設され、その後、北海道東海大学の発足に伴い、同大学の旭川キャンパス、あるいは旭川校舎と呼ばれるようになりました。北海道東海大学が東海大学と統合された後も、引き続き東海大学のキャンパスとして運営されました。

しかし、大学の再編計画などもあり、2014年3月をもってキャンパスはその歴史に幕を下ろしました。閉鎖から2年後の2016年3月には、キャンパスの敷地と建物が旭川市に寄贈されました。

設置されていた教育・研究機関

旭川キャンパスは、主に芸術工学やデザイン分野の教育・研究拠点としての役割を担っていました。キャンパスには時代の変遷とともに様々な教育・研究機関が置かれました。

東海大学工芸短期大学: 1972年から1980年にかけて工芸学科が設置されていました。
北海道東海大学芸術工学部: 1977年から2010年まで存在し、デザイン学科、建築学科、そして2003年度からはくらしデザイン学科が置かれました。
東海大学芸術工学部: 2008年の大学統合後、2015年までくらしデザイン学科、建築・環境デザイン学科が教育を行いました。
大学院: 1990年から2008年まで北海道東海大学大学院芸術学研究科（生活デザイン専攻・修士課程）が、2008年から2014年までは東海大学大学院芸術工学研究科（同専攻）が設置されていました。
研究所: 北海道における北方地域での生活文化などを研究する北海道東海大学北方生活研究所が1978年から2008年まで、そして東海大学北方生活研究所として2008年から2014年まで活動を行っていました。

主要な施設

広大な敷地には、様々な用途の建物が建てられていました。多くの建物は閉鎖後に解体されています。

1号館: 1971年に竣工した3階建ての建物で、キャンパスの中心的な施設の一つでしたが、既に解体されています。
第1実験館: 平屋建てで、様々な加工機械を備えた工房として利用されていましたが、こちらも解体済みです。
第2実験館: 1977年竣工の2階建てで、特定の用途に特化した実習室などが置かれていましたが、解体されています。
総合体育館: 1981年竣工の3階建て施設で、体育実技や課外活動に使われていましたが、解体済みです。
松前記念図書館: 1983年竣工の2階建て施設です。
* 芸術工学研究館: 1993年竣工の4階建て施設で、主に教員の研究室などが配置されていました。

キャンパスの正確な住所は北海道旭川市神居町忠和224番地です。敷地面積は約348,168平方メートルに及びました。

交通アクセス

公共交通機関を利用する場合、道北バスの「東海大学」停留所がキャンパス敷地のすぐ近くにありました。また、「忠和5条1丁目」停留所からも徒歩圏内でした。旭川駅周辺の1条7丁目バス停からこれらの停留所まで、所要時間は路線により約25分から30分程度でした。

閉鎖後の跡地利用

閉鎖後、土地と建物は旭川市に寄贈されましたが、その具体的な利活用計画は長らく定まっていません。2019年には、サウンディング型市場調査という形で民間事業者の意向やアイデアを探る試みが行われ、跡地利用に関するニーズや課題が明らかになったとされています。しかし、その後も目立った進展はなく、土地は事実上「塩漬け」状態が続いています。

跡地利用が進まない背景にはいくつかのハードルがあります。まず、都市計画法上の用途地域が「第2種中高層住居専用地域」に指定されており、建てられる建物の種類や高さに制限があることが挙げられます。さらに、敷地内は土砂災害警戒区域に含まれており、一部はより規制の厳しい土砂災害特別警戒区域に指定されていることも、開発を困難にしています。

一時期は、国道12号線を挟んで隣接する北海道伝統美術工芸村の施設と一体的に再開発を行う構想も検討されたことがありましたが、工芸村の土地・建物がツルハホールディングスによって取得されたことにより、この連携による再開発の話は立ち消えとなりました。

現在も、東海大学旭川キャンパス跡地の今後の活用については、具体的な方向性が定まっていない状況が続いています。

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