東海線

東海線：釜山から盈徳へ、そして未来へ

東海線は、大韓民国釜山広域市東区の釜山鎮駅から慶尚北道盈徳郡の盈徳駅を結ぶ、韓国鉄道公社（KORAIL）の鉄道路線です。元々は、日本統治時代に朝鮮総督府が計画した釜山～元山間の路線の一部で、現在もその歴史的背景を色濃く残しています。

KTX東海線と広域電鉄化

近年、東海線は大きく変貌を遂げています。まず、KTX（韓国高速鉄道）の浦項乗り入れ計画に伴い、京釜高速線と東海南部線を結ぶ連結線が建設され、一部区間では複線電鉄化も進められました。2015年には、京釜高速線との分岐点から浦項駅までの区間が「東海線」として暫定開業。KTXの高速運行が開始されました。

一方、釜田～太和江間の65.7kmは、首都圏以外では初の広域電鉄として整備されました。当初は「大都市圏広域交通管理に関する特別法」に基づく事業でしたが、蔚山広域市の財政難により全額国費となりました。法的には一般鉄道路線として扱われますが、他社線やバス路線との乗継割引が適用されるなど、広域電鉄としての機能も果たしています。

広域電鉄化は段階的に進められ、釜田～日光間は2016年12月30日、日光～太和江間は2021年12月28日にそれぞれ開業。運賃は釜山交通公社の路線と同水準で設定されています。運行頻度は朝夕のラッシュ時が15分間隔、それ以外は30分間隔です。

太和江～浦項間については、既存路線の改良が困難だったこと、慶州歴史地域のユネスコ世界遺産登録に際しユネスコが線路の郊外移設を条件としたことから、線路が内陸部に移設され、新慶州駅を経由するルートに変更されました。

激動の歴史：分断と再統合への道

東海線は、1929年の部分開業以来、幾多の困難を乗り越えてきました。昭和恐慌や日中戦争、太平洋戦争など、幾度となく建設は中断を余儀なくされました。終戦時には、元山～襄陽間の東海北部線、釜山～浦項間の東海南部線、三陟までの区間が開業していました。

1945年の日本の降伏後、朝鮮半断によって線路は南北に分断。北朝鮮側は朝鮮戦争により運行が中断され、その後も復旧されることはありませんでした。一方、韓国側は、東海南部線と東海市周辺の路線が継続的に運営されてきました。

1998年の金大中政権誕生以降、南北関係の改善に伴い、東海線完成が再び注目されるようになりました。2000年の南北首脳会談では、京義線と共に東海線の完成が合議されました。アジア横断[[鉄道]]計画にも組み込まれ、戦前に計画された欧州への足がかりという構想が、半世紀以上を経て再び現実味を帯びたのです。

2007年には、北朝鮮側の金剛山青年駅から軍事境界線を越えた猪津駅までの試運転が行われましたが、その後南北関係の悪化により、中断されました。

韓国国内では、韓国鉄道施設公団による日本海沿岸部の路線建設が進められ、2018年には盈徳駅まで開業しました。さらに江陵から襄陽を経て猪津駅に至る区間の建設も開始され、2027年の開通を目指していました。しかし、2024年9月、北朝鮮軍による軍事措置発表により状況は変化しました。

未来への展望：未完成の路線

東海線は、日本統治時代からの歴史、朝鮮戦争による分断、そして南北協力への期待など、複雑な歴史を背負っています。現在も建設・延伸工事が進行中ですが、政治情勢の影響を大きく受けながら、その未来は不確実性をはらんでいます。

完成すれば、釜山から元山までを結ぶ全長約500kmにも及ぶ大規模な鉄道路線となります。日韓を繋ぐアジア横断[[鉄道]]網の一翼を担う重要な路線となる可能性を秘めていますが、完成への道のりは依然として長く、困難な道のりであると言えるでしょう。

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