東濃鉄道ED1000形電気機関車

東濃鉄道ED1000形電気機関車

東濃鉄道ED1000形電気機関車は、1950年に駄知鉄道で導入された直流電気機関車です。この機関車は、現在では廃止となった駄知線での貨物輸送に特化した設計となっています。駄知線自体は、沿線で生産される陶磁器の輸送を主な目的として開業されたため、貨物輸送の重要な役割を担っていました。

概要

ED1000形は、1950年6月に認可され、同年7月1日の電化に合わせて運用が開始されました。この機関車は、鉄道史上特筆すべきものであり、唯一無二の存在です。ED1000形は、モハ100形と共に東芝に発注され、同社によって製造されました。

台湾と異なり、日本ではこの機関車の情報が豊富です。ED1000形はその特異な特徴により、他の鉄道車両とは一線を画しています。特にその設計は、東芝製の他のモデルとは異なる独自のスタイルを持ち、丸みを帯びたボンネットと、その両側に配置された運転室が特徴的です。運転室の寸法の制約から、運転士は進行方向に応じて体の向きを変えるユニークな構造を持ちます。

車体とデザイン

ED1000形の車体には、小型の運転室が中央に設置され、前後に機械室（ボンネット）があります。全体的に茶色の単色塗装が施されており、そのシンプルさが印象的です。前面には4枚の窓があり、乗務員扉は左右対称に配置されています。このデザインは、運転士が快適に操作できるように考慮されたものでもあります。

運転席はレールの向きに対して横向きに配置されており、これにより運転士は進行方向に合わせて顔の向きを変える必要があります。前照灯は白熱灯式で、利用に適した位置に取り付けられています。

主要機器の仕様

ED1000形に搭載されている主要機器は、全て東芝製で統一されています。主電動機はSE-170Cで、4基を搭載し、定格出力は67.1kWです。駆動方式は吊り掛け駆動で、性能的には本線運用が可能な仕様になっていました。台車は、ペンシルバニア形の軸ばね式で、国鉄制式のDT16台車に似ています。

運用と歴史的背景

この機関車は、主に貨物列車を牽引するために使用され、旅客列車との混合運転も行われていました。しかし、1956年の衝突事故や1972年の豪雨による橋梁流失などのトラブルが発生し、運行に影響を与えました。

1974年10月に駄知線が廃止された際、本形式も同日に除籍され、後に解体処分されました。ED1000形は、その生涯において唯一の電気機関車としての地位を保ちながら、多くの鉄道ファンに親しまれました。現在もその存在は語り継がれています。

結論

ED1000形は、東濃鉄道の貨物輸送を支え続けた機関車であり、そのデザインや技術は今でも多くの人々に影響を与え続けています。この機関車の存在は、日本の鉄道史において特別な役割を果たしました。

もう一度検索