東道諸王

東道諸王の総説

東道諸王（とうどうしょおう）は、モンゴル帝国の初代皇帝チンギス・カンの兄弟たち（ジョチ・カサル、カチウン、テムゲ・オッチギン、ベルグテイ）を始祖とする王家の総称であり、モンゴル高原の東方地域に広がる領地を持っていました。彼らは「東方諸王」や「左翼諸王」とも称され、その中でもベルグテイ家のみが庶出であり、一般的に他の三王家から除外されることが多いです。これに対し、西道諸王はチンギス・カンの子供たちを始祖とし、モンゴル高原の西側に領地を形成しました。

蒙古帝国における位置づけと歴史

1206年にモンゴル帝国を成立させたチンギス・カンは、統治する遊牧民を組織化し、千人隊（ミンガン）を設立しました。この新編成では、東道と西道にそれぞれ12の千人隊が分与され、東道諸王は左翼、つまりカーンの直接の指導下に位置することになりました。彼らは西道諸王と異なり、カーン側近として一丸となった行動をとることが多く、特にオッチギン王家の影響力が強かったです。

名称の由来と表現

「東道諸王」という名称は、モンゴル高原とアムール川流域を結ぶ北方交易路の支配を反映していると考えられています。また、モンゴル年代記でもさまざまな名称（オンリュート、アバガ、アル・モンゴル）が存在し、各時代に異なる表現が用いられていました。

各王家の歴史

カサル王家

カサル王家はチンギス・カンの次弟ジョチ・カサルを祖とし、初めて封じられた地域はエルグネ川流域でした。ナヤンの乱後、カサル家当主は斉王として知られるようになり、後に清朝に仕官する際も高い地位を保ちました。彼らはほかの部族とも結びつき、ホルチン部を代表とした繁栄を享けました。

カチウン王家

カチウン王家はチンギス・カンの三弟に由来し、最初の領地はウルゲン川流域でした。彼らも連携して清朝に帰順し、オンニュド旗という行政区に編入されました。特筆すべきは、後にカチウン裔がモンケ・チャガン・ノヤンといった重要な人物を生むことです。

オッチギン王家

オッチギン王家はテムゲ・オッチギンを祖とし、最も多くの領地を持っていました。ナヤンの乱後彼らは遼王の称号を得、特に明朝成立後にウリヤンハイ三衛に組織されましたが、最終的に王家の系譜は途絶えてしまいます。

ベルグテイ王家

ベルグテイ王家はチンギス・カンの異母弟ベルグテイを始祖としますが、庶出であるために他の三王家よりも地位が低く、初代の待遇も限定的でした。しかし、時代を経て影響力を持つようになり、清朝の成立に伴い、さまざまな部族と結びつきを持ちました。

東道諸王の影響

東道諸王は、モンゴル高原だけでなく、清代に至るまでその存在感を示しました。彼らの系譜は、現在の中華人民共和国の行政区にも繋がり、名誉ある称号や地域名として今も残っています。特に、カサル王家の子孫たちは清朝の皇族と通婚し、繁栄を保ちながら、自治と組織化を図ってきました。こうした歴史は、元号や王家のまだ見ぬ物語を今に伝えています。

結論

このように、東道諸王はモンゴル帝国の歴史の中で重要な役割を果たした群体であり、現在でも多くの文化的・歴史的意義を持っています。彼らが築いた王権や影響力は、モンゴルの歴史だけでなく、アジア全域にわたる影響を及ぼしてきたのです。

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