東部防衛司令部

東部防衛司令部の概説

東部防衛司令部（とうぶぼうえいしれいぶ）は、日本陸軍の組織であり、1935年から1940年まで存在していました。この司令部は、防空のために設置された日本初の組織であり、東北、関東、中部地方の一部を管轄していました。設置当初は防衛計画を策定する役割が主でありましたが、1937年からは防空の指揮や東京近郊の警備にも携わるようになりました。しかし、1940年には東部軍司令部に改組され、その役割は終了しました。

設置の背景

東部防衛司令部は、日本が防空対策に本格的に取り組む必要性を感じた結果、設置されました。最初の司令官は西義一大将で、ほとんどの人員は従来の東京警備司令部との兼任で構成されていました。司令部の所在地は東京です。設置後しばらくは麹町区九段1丁目の軍人会館で業務を行っていましたが、1936年には麹町区隼町や代官町へと移転しました。

権限の拡張

1937年に入ると、東京警備司令部が廃止されたことに伴い、衛戍令の改定によって東部防衛司令部は警備の権限を引き継ぎます。これにより、東京を中心とする地域での防護や警備が強化されました。防空のための演習も活発に行われ、市民も参加するなど官民合同で防空意識を高める取り組みが行われていました。特に、1933年から始まった関東防空演習では、陸海軍の部隊と民間団体が共同で活動しました。

防空活動と市民の参加

東部防衛司令部は、1937年に『防護団員必携草案』を配布し、市民参加の防空訓練を推進しました。また、防空監視隊の設置に関連して、東部防空統制管区での服務規定も作成されるなど、組織としての体制が整備されていきました。さらに、1940年には新たな防空計画に基づく具体的な指針が作成され、行政機関との連携も強化されました。

情報収集と報告

東部防衛司令部は、地域の政治情勢や様々な団体の動向を把握し、陸軍大臣に定期的に報告を行っていました。特に、外国人や労働団体の活動については敏感に情報収集を行い、受動的ではなく能動的に防衛体制を構築しようとする姿勢が見て取れます。

終焉と東部軍司令部への移行

1940年に入ると、日本の軍組織はさらなる再編成を進め、東部防衛司令部は廃止され、東部軍司令部へと改組されました。この組織変更により、依然として防空活動を続ける一方、管内の師団を隷下に持つ形での強化が図られました。

人事と定員

設立当時の東部防衛司令部の定員は、司令官が大将または中将1名、参謀長が大佐1名、また各種参謀や部隊付の人員が配置されていました。歴代の司令官や参謀長の任期を振り返ると、彼らの役職はしばしば東京警備司令官との兼任が行われていました。これは、当時の防衛体制における人材の流動性を示しています。

結論

東部防衛司令部は、設立から終焉までの間に、日本の防空体制の基礎を築く重要な役割を果たしました。数々の施策や演習を通じて国民の防空意識を高め、戦時体制に向けた準備を整える中で、当時の日本における防衛戦略の重要な一翼を担ったと言えるでしょう。

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