松元繁

松元 繁

松元 繁（まつもと しげる）氏は、1971年5月30日に埼玉県新座市で誕生した元プロ野球選手（投手）です。右投げ右打ち。

プロ入りまで

朝霞高等学校に進学後、1年生の秋から野球部に加わりました。投手として急速に頭角を現し、川越工業高校の佐藤剛選手と並び称される、県内でも有数の好投手として注目を集める存在となります。さらに、2年生の秋に開催された県大会では、3試合で5本塁打を放つ驚異的な打棒を見せ、打者としても高い評価を受けました。

高校3年生の春には県大会で3度の完封勝利を記録するなど投手として圧倒的な投球を見せましたが、夏の大会では故障に見舞われ、4番打者として出場するもマウンドに立つ機会は得られませんでした。それでも、その潜在能力は高く評価されており、1989年のプロ野球ドラフト会議では、広島東洋カープとヤクルトスワローズから競合の末、それぞれ5位で指名されました。抽選の結果、ヤクルトが交渉権を獲得し、入団が決定。この同期には、後に球界を代表する捕手となる古田敦也氏や、本格派として活躍した西村龍次氏らがいました。

プロ野球選手としての歩み

プロ入り後、松元投手は将来のエース候補として期待されました。しかし、入団2年目に腎臓疾患という難病が発覚し、選手生命の危機に瀕します。当時、練習生制度が廃止されたことに伴い、1992年限定で設けられた臨時措置である「重大故障認定選手」制度が適用されました。これはプロ野球史上唯一の適用例であり、その病状の深刻さを示すものでした。

懸命な治療とリハビリを経て、松元投手は5年目となる1994年に奇跡的な復帰を果たしました。このシーズンには、一軍での初登板、初先発、初奪三振を記録しています。主にリリーフ投手としてチームに貢献し、安定した投球を見せるようになります。

特に1996年は、チームの主力投手陣に故障や不振が相次ぐ中、中継ぎの柱として獅子奮迅の活躍を見せました。チームトップとなる49試合に登板し、プロ入り後初の勝利を含む3勝をマーク。ブルペンを支える貴重な存在としてチームの勝利に貢献しました。しかし、この登板過多の影響もあり、その後は再び故障に悩まされ、手術を受けるなど苦難が続きます。これにより、再び一軍のマウンドに立つ機会は得られなくなりました。

1999年シーズン終了をもって、惜しまれつつ現役を引退しました。プロ通算では、難病と度重なる故障を乗り越えながら、実働した数年間で通算3勝を挙げています。

主な記録

初登板：1994年4月21日 対横浜ベイスターズ戦（神宮球場）
初先発：1994年4月23日 対中日ドラゴンズ戦（福岡ドーム）
初奪三振：同上
初勝利：1996年4月28日 対阪神タイガース戦（神宮球場）

背番号

51（1990年 - 1999年）

引退後の活動

現役を退いた後、松元氏は野球界を離れ、実業界へと転身しました。データスタジアム株式会社に入社し、そこでキャリアを積み重ねます。野球選手としての経験とは異なる分野でその手腕を発揮し、現在は同社の取締役執行役員という重責を担っています。

プロ野球選手として病気や故障という大きな壁に立ち向かい、奇跡的な復帰と活躍を見せた後、引退後も新たな分野で成功を収めている、波乱に富みながらも力強く生きるキャリアの持ち主です。

関連項目

埼玉県出身の人物一覧
* 東京ヤクルトスワローズの選手一覧

もう一度検索