松原英輝

松原 英輝（まつばら ひでき）は、1977年1月24日に大阪府で生まれた日本のサッカー指導者です。

大阪教育大学大学院での学業を終えた後、サッカー指導者としての道をさらに深めるため、27歳という年齢で単身フランスへと渡ることを決意しました。高レベルなコーチライセンス取得を目指し、名門として知られるクレールフォンテーヌ国立研究所に学びの場を求めました。異国の地での挑戦は決して平坦なものではなく、学費や日々の生活費を捻出するため、深夜に働く卸売市場での肉体労働や、持ち前の語学力を活かした通訳のアルバイトを掛け持ちするなど、苦労を重ねながら勉学を続けました。その粘り強い努力は実を結び、足掛け5年の歳月をかけて、欧州サッカー連盟（UEFA）公認の権威あるA級ライセンスを取得しました。

フランスでの厳しい修行を終え帰国した後、松原氏は日本の育成年代における指導の現場に身を投じます。まず、将来有望な若手選手を育成するJFAアカデミー福島において、主にU-13、U-14、U-15といった中学生年代のチームで監督として指揮を執り、2年間指導にあたりました。その後はJFAアカデミー熊本宇城へ活躍の場を移し、こちらでもコーチとして3年間、選手の技術向上や人間的な成長をサポートしました。JFAアカデミーでの手腕は高く評価され、2012年には吉武博文氏が率いるU-16日本代表候補のトレーニングキャンプにコーチとして招集され、日本サッカーの将来を担うエリート候補生たちの指導にも関わりました。

長年にわたるフランスでの経験、特に言語能力と指導者としての知識・手腕は、国内トップリーグからも注目を集めます。2015年、Jリーグの横浜F・マリノスに加入することが発表されました。この年、チームにはフランス出身のエリク・モンバエルツ氏が新監督として就任しており、松原氏は当初、モンバエルツ監督の専属通訳として、チームと指揮官のコミュニケーションを円滑にする重要な役割を担いました。しかし、語学の橋渡し役にとどまらず、その指導者としての資質がチーム内で認められると、翌2016年からは通訳業務に加え、アシスタントコーチを兼務する形で指導の現場にも本格的に参加するようになります。さらに2017年には、コーチ兼通訳として、より中心的な立場でチームの戦術指導や選手の育成に関わっていきました。横浜F・マリノスでの経験を通じて、トップチームにおけるプロフェッショナルな指導法を深く学びました。

松原氏のキャリアは、大学サッカー部から海外の育成組織、日本のJFAアカデミー、そしてJリーグのトップチームに至るまで、多岐にわたる指導経験に彩られています。特に、海外で自ら道を切り開き、異文化の中で指導者ライセンスを取得した経験は、その指導哲学やキャリアパスに大きな影響を与えていると言えるでしょう。

主な指導歴は以下の通りです。

2000年 - 2004年：大阪教育大学サッカー部 コーチ
2003年 - 2004年：関西学生選抜チーム コーチ
2005年 - 2006年：FC Talent U-15 監督
2007年 - 2008年：A.C.Boulogne Billancourt U-15 コーチ (フランス)
2008年 - 2009年：Dijon Football Côte-d'Or U-15 コーチ (フランス)
2010年 - 2013年：JFAアカデミー福島
2010年 - 2011年：U-13 監督
2011年 - 2012年：U-14 監督
2012年 - 2013年：U-15 監督
2013年 - 2015年：JFAアカデミー熊本宇城 コーチ
2015年 - 2017年：横浜F・マリノス
2015年：通訳
2016年：通訳兼アシスタントコーチ
2017年：コーチ兼通訳

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