松尾アトム前派出所

松尾アトム前派出所：リンゴ農家芸人の波瀾万丈な人生

松尾アトム前派出所（本名：松尾寿司）は、長野県出身の男性ピン芸人であり、リンゴ農家でもある異色の存在だ。1978年5月1日生まれ。タイタン所属。

当初は「フィルダースチョイス」というコンビで活動していたが、緊張から早口で相方のセリフを追い抜き、ボタンの掛け違いのような漫才を繰り広げていたという。そんな彼が転機を迎えたのは、西口プロレスの東京ペールワン・ユンボ安藤との出会いだった。弟子入りを志願した際、滑舌の悪さから真意が伝わらず、紆余曲折を経て「松尾アトム前派出所」という芸名を授かった。自ら「日本三大松尾」（松尾芭蕉、松尾スズキ、松尾アトム前派出所）と称するほどの自信をのぞかせる。

2010年には、大川興業主催の若手ライブ「100円すっとこ」で知り合った女性と結婚。「史上最強の100円婚活」とまで言わしめ、一時は長野で農業に専念する「高木美保スタイル」の生活を送っていた。しかし、2014年に離婚。

その後、2013年にはタイタン所属オーディションで、太田光代にコーティングされた花束をプレゼントし、爆笑を誘って見事合格。タイタン所属となった。2017年には農作業中の事故でチェンソーで顎を切り、左手を骨折する重傷を負うも、その経験をネタに昇華させるタフさを見せる。顎の傷跡を「漫画の長嶋茂雄みたい」と表現するなど、持ち前のユーモアのセンスは健在だ。

2020年1月には、同じ事務所の日本エレキテル連合の中野聡子と「交際0日」で結婚。しかし、キスも手も握らず、同居もしていないという、独特の結婚生活を送っている。結婚直後には、仲の良い芸人仲間と結婚祝い食事会を開き、その集合写真が店に飾られたが、説明文に「他」と付け加えられたエピソードも話題を呼んだ。

さらに松尾は、2020年公開の映画「実りゆく」で主人公のモデルを務め、自身の農園も撮影場所として提供。しかし、監督がタイタンのマネージャーだったため、撮影中はマネージャーのマネージャーのような役割を担っていたという。上京時には芸人仲間の家に泊まるなど、人との繋がりの深さも見せる。

芸風は、ドカベンの作者水島新司になりきった漫談や、農業あるあるを和歌で表現した「百姓一首」など、独自の世界観を展開。造語を駆使した早口で滑舌が悪いため、何を言っているのかわからないことも多いが、それがまた彼の魅力となっている。さらに、芸人仲間やマネージャーにコードネームやキャッチフレーズをつける癖があり、そのユニークな発想も話題を呼ぶ。

テレビ、ラジオ、インターネット番組など、多方面で活躍。出演番組は「アリケン」、「有田ジェネレーション」、「ネタパレ」など多数。「オモクリ監督」では日本エレキテル連合中野の監督作品に出演するなど、幅広い活動を見せている。映画にも出演しており、「くも漫。」、「実りゆく」などに出演。

公式ブログやX（旧Twitter）、Radiotalkなど、積極的に情報発信を行い、ファンとの交流も大切にしている。リンゴ農家でありながら、独自の芸風で多くの人々を魅了し続ける松尾アトム前派出所。その波瀾万丈な人生と、持ち前の明るさは、多くの人の心を掴んで離さない。

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