松居竜五

松居竜五：南方熊楠研究をリードする第一人者

松居竜五氏は、1964年5月生まれの南方熊楠研究者、比較文化研究者であり、龍谷大学国際学部教授、そして南方熊楠顕彰館館長として活躍されています。氏の研究活動は、南方熊楠研究のみならず、日英関係史や比較文化研究にも及び、幅広い知見と深い洞察力を有する第一人者と言えるでしょう。

学究の道：東京大学からケンブリッジ大学へ

京都府出身の松居氏は、1988年に東京大学文学部国文科を卒業後、同大学院比較文学比較文化博士課程に進学。1991年には中退されましたが、その後も東京大学教養学部で留学生担当講師を務めました。1992年には修士論文『南方熊楠一切智の夢』を発表し、小泉八雲賞奨励賞を受賞。この作品は、若くしてすでに南方熊楠研究における卓越した才能を示すものでした。

1994年には東京大学を退任し、ケンブリッジ大学客員研究員としてイギリスに渡ります。この期間に、南方熊楠が英国に滞在していた時の資料を徹底的に調査し、研究の基盤を固めました。

帰国後、1997年に駿河台大学助教授に就任し、2001年には龍谷大学助教授、2007年には准教授に昇進。そして2012年には教授の地位に就き、現在に至ります。

研究業績：南方熊楠研究の先駆け

松居氏の研究は、南方熊楠の思想、業績、そしてその生涯に深く迫っています。2017年には『南方熊楠一複眼の学問構想』を著し、角川財団学芸賞を受賞。これは、氏の研究の深さと重要性を示す大きな評価と言えます。南方熊楠の多角的な学問観、博物学的な視点、そして異文化交流への理解といった多様な側面を網羅した研究は、後世に大きな影響を与え続けています。

氏の研究対象は南方熊楠のみに留まりません。日英関係史の研究にも積極的に取り組んでおり、太平洋戦争中にビルマで日本軍の捕虜となった英国軍人についても研究を深めています。この研究は、戦争という歴史的視点と、日英両国の文化交流という側面を統合した、多層的な視点からの考察を提供するものです。

多彩な活動：教育、研究、そして顕彰

教育者として、龍谷大学において学生たちに国際的な視野と深い学識を伝えています。また、日本国際文化学会常任理事・副会長としての活動を通して、国際的な学術交流にも貢献しています。さらに、2021年からは南方熊楠顕彰館館長を務め、南方熊楠の業績と精神の継承に尽力しています。

出版物：南方熊楠研究の集大成

松居氏は、これまでに多くの著作を発表しており、それらは南方熊楠研究における重要な文献となっています。代表的な著書として、『南方熊楠一切智の夢』『南方熊楠　複眼の学問構想』『熊楠さん、世界を歩く　冒険と学問のマンダラへ』などがあり、それぞれの著書で南方熊楠像を多角的に描き出しています。共編著も多数あり、南方熊楠研究の裾野を広げることに大きく貢献しています。

まとめ：未来への貢献

松居竜五氏は、南方熊楠研究の第一人者として、教育、研究、そして顕彰活動と、多方面で活躍されています。その研究成果は、南方熊楠という偉大な人物像の理解を深めるだけでなく、国際的な学術交流の促進、そして未来への文化的継承に大きく貢献しています。今後の活躍にも期待が高まります。

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