松山秋祭り

松山秋祭り

松山秋祭りは、愛媛県松山市で毎年10月5日から7日にかけて開催される、市内各地の神社における秋の例祭です。各神社で宵宮祭、例大祭、神幸祭などが行われ、市内は祭り一色に染まります。

概要

旧松山市内地区の24の神社を中心に、それぞれの日程で祭りが行われます。特に7日は、早朝から市内各所で神輿の練りや鉢合わせが行われ、最高潮を迎えます。道後温泉駅前、厳島神社、石手川公園、城山公園などで行われる鉢合わせは、特に有名で、見物客で賑わいます。この日は、多くの小中学校や店舗が祭りのために休日となるほど、地域に根付いた祭りです。

特徴・行事

松山秋祭りは、収穫への感謝、五穀豊穣、家内安全、商売繁盛などを願う秋祭りです。多くの神社で神輿が練り歩き、一部の神社では大神輿同士をぶつけ合う鉢合わせという勇壮な行事が行われます。

神輿

主に四角い神輿が使われ、担ぎ手は担夫や神輿守と呼ばれます。多くは法被と鉢巻を身に着けており、成人男性が担ぐ神輿は大神輿、女性が担ぐ神輿はおんな神輿、子供が担ぐ神輿は子供神輿と呼ばれます。大神輿の掛け声は「ヨイサ　ヨイサ」、おんな神輿と子供神輿の掛け声は「ワッショイ　ワッショイ」です。神輿は町域ごとに分かれており、大神輿には大頭取と呼ばれる仕切り役が乗り、担ぎ手を鼓舞します。

かき比べ

複数体の神輿が神輿振りなどを行い、その美しさや力の強さを競います。一体走りや鉢合わせも、このかき比べの一種です。

神輿振り・魂振り

「セーノ　セ」の掛け声で神輿を高く持ち上げ、「ドウジャ　ドウジャ」の掛け声とともに神輿を激しく揺さぶります。これは、神の霊威を高め、御魂の発動を促進する行為とされ、激しく振るほど神が喜ぶと言われています。

鉢合わせ

阿沼美神社、厳島神社、道後温泉駅前などで行われる鉢合わせは、松山秋祭りの見どころの一つです。「モテコイ　モテコイ」の掛け声とともに、大神輿同士を激しくぶつけ合います。ぶつけ方は神社によって異なり、正面から担ぎ棒をぶつける場合や、神輿本体同士をぶつける場合があります。安全のため、事前に装飾を外し、ロープで補強されますが、担ぎ手には危険が伴います。2024年には参加者が集団暴行を受ける事件も発生しました。

一体走り

勝岡八幡神社で行われる一体走りは、鉢巻に襷掛けふんどし姿の青年たちが神輿を担いで参道を駆け抜ける行事です。神輿を揺らさず、走り込みの美しさを競います。松山市の無形民俗文化財に指定されています。

川狩神事

勝岡八幡神社の安城寺地区では、神輿を久万川に入れ、流水で清める川狩神事が行われます。

神輿音頭

神輿の練り歩きに合わせて、公民館などから町内放送で神輿音頭が流されます。この曲は、矢野亮作詞、中野忠晴作曲で、現在流れているのは三橋美智也が昭和28年に吹き込んだものとされています。

歴史

松山秋祭りは、17世紀の松山藩政時代ごろから行われているとされています。松山藩は、阿沼美神社、雄郡神社、伊佐爾波神社の祭りを「三祭」と称しました。

阿沼美神社の神輿は、八角の神輿（八角さん）と四角の神輿（四角さん）があり、鉢合わせで町人と農民が力比べを行い、勝敗によって商売繁盛や五穀豊穣を占ったとされています。

勝岡八幡神社の一体走りは、1754年の記録に「勝岡八幡宮出走込み」とあり、江戸時代中期には既に行われていたことがわかっています。

現在

2016年、神輿製造を行っていた阿部神仏具店が後継者不足のため製造を休止しました。

関連行事

2009年からは、毎年9月下旬に、宇和島市の牛鬼、新居浜市の太鼓台、西条市のだんじりなどが参加する大神輿総練が行われています。

松山秋祭りは、地域の歴史と文化が息づく、活気あふれる祭りです。

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