松岡久人

松岡久人

松岡久人（まつおか ひさと、1918年8月5日 - 2009年2月12日）は、20世紀の日本において、日本中世史研究に重要な足跡を残した歴史家です。彼の専門は日本中世史であり、特に厳島神社や大内氏に関する研究において、その深い知識と洞察力に基づいた業績は高く評価されています。

生涯

松岡久人は大分県に生まれ、1942年10月に廣島文理科大学史学科国史学専攻を卒業しました。戦後の学制改革により1949年に広島大学が創設されると、国史学教室の助手として研究と教育のキャリアをスタートさせました。その後、1954年に講師、1958年に助教授へと昇進し、1972年には教授に就任しました。広島大学における長年の勤務を通じて、多くの学生を育成し、日本史研究の発展に貢献しました。

研究活動

松岡久人の研究は、日本中世史の中でも、特に厳島神社と大内氏に焦点を当てたものでした。厳島神社は、平安時代末期から中世にかけて、瀬戸内海の海上交通の要衝として、また信仰の中心地として重要な役割を果たしました。松岡は、厳島神社の歴史的変遷や、その社会・経済における影響について詳細な研究を行い、その成果は学界に大きな影響を与えました。また、大内氏は、室町時代から戦国時代にかけて、中国地方に勢力を誇った守護大名であり、その領国経営や文化政策は、当時の社会や文化に大きな影響を与えました。松岡は、大内氏の領国制の展開について、詳細な史料分析に基づいた研究を行い、その政治・経済・文化における役割を明らかにしました。1972年には、「大内氏領国制の展開」と題する研究で広島大学から文学博士の学位を授与されています。

また、松岡久人は、史料編纂事業にも積極的に参加しました。『南北朝遺文　中国四国編』の編集にも携わり、南北朝時代の貴重な史料の収集・整理・刊行に貢献しました。この事業は、南北朝時代の歴史研究に不可欠な基礎資料を提供し、その後の研究の発展に大きく寄与しました。

参考文献

広島大学二十五年史編集委員会 編「第1編 文学部 第2章 教室史 第5節 国史学教室」『広島大学二十五年史 部局史』広島大学、47-51頁。https://doi.org/10.15027/49737。
広島史学研究会（編）「訃報」『史学研究』第267号、広島史学研究会、2010年、90頁。

松岡久人の研究業績は、日本中世史研究において重要な位置を占めており、彼の研究は、今後の研究においても参照されるべき貴重な財産となっています。

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