松岡城 (信濃国)

松岡城の概要

松岡城（まつおかじょう）は、日本の長野県下伊那郡高森町に存在した歴史的な城です。南北朝時代に信濃国伊那郡市田郷の地頭、松岡氏によって築かれました。城は天竜川の西岸に位置し、その地形を生かした防御機能を備えています。築かれたとされる時期には諸説あり、1065年や1069年、さらには1077年などが記載されていますが、吉野朝以降の1300年代に成立した姿が考えられています。

松岡城の構造

本郭は城の東端部に位置し、広さは東西95メートル、南北80メートルとされています。城の南西側には崖があり、帯郭で囲まれた上に土塁が設置されています。また、城の西側には平地に向けて掘りにより区切られたことが確認されており、これらの特徴が松岡城独自の防衛戦略を示しています。やがて天正16年（1588年）、城主の松岡貞利は徳川家康により改易され、松岡城は廃城となりました。

支城および属城

松岡城にはいくつかの支城が存在しました。具体的には、松岡南城（高森町牛牧）、古御屋（古御家）（高森町下市田）、さらには城山や本城、古城などがこの地域に位置していました。また、南の城には坂巻城や次郎城、上野城、原の城などがあり、これらは松岡城と共に地域の防衛網を形成していました。

歴史的な調査

松岡城については、明治・大正期には『伊奈郡郷村鑑』や『南信伊那史料』『下伊那郡誌』などにその概略が記載されています。さらに昭和期には1940年から1941年にかけて市村威人が調査を実施し、その結果が『昭和拾五年史跡名勝天然記念物調査報告書第二十一輯』に報告されました。さらに1972年には『高森町史』が発行され、その中に詳細な記録が残されました。1978年には松源寺の墓地造園計画に伴い、町文化財調査委員会による試掘調査が行われ、松岡城の遺構の一部が発見されました。

近年の進展

平成元年（1989年）、松岡城址公園計画推進委員会が設立されました。ここでは縄張図の作成や試掘調査が行われ、その結果が高森町教育委員会によって詳細に記録されました。文化財の指定も行われており、1987年には高森町の有形文化財に指定されています。その後も松岡城址の整備が進められ、1990年からの10ヵ年計画によって自然公園としての整備が開始されました。さらに、2013年には城址内に松岡氏五百年慰霊之碑が建立され、松岡城の歴史が地域において再評価されています。

松岡城址愛護会の活動

2001年には、松岡城主によって建立された松源寺の檀家などが松岡城址愛護会を立ち上げ、地域住民や関係者によって城址の保護やイベントの開催が行われています。2011年には「松岡城址の秋を観る会」が初めて開催され、さらに2012年春には「松岡城址新緑の会」が実施されました。この会では地域住民の家庭から集めた鯉のぼりを泳がせるなど、地域の伝統と文化を継承する取り組みが見られます。

松岡城は、歴史的にも重要な役割を果たした城であり、その跡地は今も地域の歴史を語り続けています。

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