松平信宝 (三河吉田藩主)

松平信宝（まつだいら のぶたか/のぶとみ）

松平信宝は、江戸時代後期の三河吉田藩の第5代藩主であり、大河内松平家9代目を務めた人物です。文政7年（1824年）に、父である松平信順の長男として江戸の谷中下屋敷で誕生しました。母は側室の凉松院です。父の正室に子がなかったため、文政9年（1826年）に嫡子となり、文政11年（1828年）には信宝と名乗るようになります。

生涯

天保8年（1837年）には、初めて将軍家斉と世子家慶に拝謁し、同年12月には従五位下・隼人正に叙任されました。天保12年（1841年）には、病身の父・信順の名代として吉田城へ入ります。帰国途中に鳳来山東照宮に参拝するなどした後、天保13年（1842年）には江戸へ参勤しました。

同年12月、父・信順が隠居したため、家督を相続し、呉服橋内上屋敷に移り住みます。翌日には伊豆守に改めました。天保14年（1843年）には備後福山藩の世嗣・阿部正粹の娘と結婚しました。同年6月には帰国の暇を賜りますが、病気のため2度延期を願い出ました。

天保15年（1844年）には、隠居していた父・信順が病死し、その後、信宝自身も病に倒れてしまいます。結局、帰国することなく、同年10月17日に21歳という若さでこの世を去りました。ただし、公式には11月20日に死去したと発表されています。跡継ぎがいなかったため、妹の貞姫を養女とし、分家の旗本である松平信敏の子・信璋を婿養子に迎えることになりました。

系譜

父母
父：松平信順
母：綾瀬（金子氏、凉松院） - 側室
縁女
敬姫 - 松平斉厚の娘
正室
較姫 - 阿部正粹の娘
養子女
松平信璋 - 松平信敏の長男
貞 - 実妹、松平信璋正室


松平信宝は、若くして藩主となりながらも、その生涯は病に翻弄されたものでした。しかし、その短い期間の中で、藩主としての責務を果たそうと努めた人物であったと言えるでしょう。彼の死後、吉田藩は養子を迎えて藩政を継続することになります。

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