松平勝権

松平勝権（まつだいら かつのり）は、江戸時代後期に下総国多古藩の第6代藩主を務めた人物です。文化4年（1807年）に近江国彦根藩主・井伊直中の九男として誕生し、後に多古藩5代藩主・松平勝升の婿養子となりました。

文政元年（1818年）に勝升が死去したため、家督を継承。同年11月16日には、従五位下・相模守に叙位・任官されました。文政9年（1826年）には、初めて領地入りの暇を得ています。

大名としての役割も果たし、江戸城の各門の門番や、将軍家の行事の際の通路警備（辻固め）などの課役を担いました。天保元年（1830年）には、江戸小石川西富坂上の上屋敷内に藩校「学問所」を創設し、藩士の教育に力を注ぎました。

弘化3年（1846年）7月には、元長崎唐大通事の神代徳次郎を預けられています。これは、幕府の命によるものでしょうか、詳細な経緯は不明です。

嘉永元年（1848年）10月7日、病気を理由に家督を長男・勝行に譲り、隠居しました。そして、慶応4年（1868年）閏4月23日に62歳で死去しています。

系譜

父：井伊直中
母：橋本氏
養父：松平勝升
正室：寿美 - 松平勝升養女、松平全好の次女
子女：
長男：久松勝行


松平勝権は、多古藩の藩政に尽力する一方で、大名としての義務も果たしました。藩校の創設は、藩士の教育水準の向上に貢献し、多古藩の発展に寄与したと言えるでしょう。また、長崎唐大通事の預かりは、幕府との関係を示すものとして注目されます。

その生涯は、大名としての責務と藩政への貢献が両立したものであり、江戸時代後期の大名の一つの典型を示すものとして評価できます。

もう一度検索