松平宗昌

松平宗昌：越前福井藩の治世と家系断絶

松平宗昌は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した大名です。越前国松岡藩の2代藩主として治世を始めた後、本家の越前福井藩9代藩主の座を引き継ぎました。従四位下・侍従・内匠頭といった要職にも就いています。

若き家督相続と本家への継承

延宝3年（1675年）、松岡藩初代藩主・松平昌勝の三男として誕生しました。幼名は仙鉄。元禄6年（1693年）、父の死去に伴い、まだ若くして家督を相続します。当初は昌興、後に昌平と名乗り、松岡藩を治めました。

享保6年（1721年）、宗昌の弟で当時福井藩主であった松平吉邦が後継ぎなく死去したことにより、宗昌は本家の福井藩を継承することとなります。これに伴い、松岡藩は福井藩に併合され、福井藩は30万石の大藩となりました。そして、8代将軍・徳川吉宗から偏諱を賜り、「宗昌」と改名しました。

高齢での家督継承と養子相続

宗昌が福井藩主となったのは40代半ばを過ぎてからのことであり、当時としては後継者を得るには高齢でした。そのため、幕府の指示により、白河新田藩主・松平知清の次男である宗矩を養嗣子として迎え入れました。これは、福井藩における家督相続を巡る騒動の再発を防ぐための幕府による先制措置であったと考えられます。宗矩は先代藩主吉邦の一人娘を正室に迎え、福井藩の安定に貢献しました。

死去と家系の断絶

享保9年（1724年）、宗昌は江戸で50歳で亡くなりました。その死後、養子である宗矩が福井藩主を継承しました。宗昌の墓所は、当初は東京都港区虎ノ門の天徳寺でしたが、後に東京都品川区南品川の海晏寺に移されました。宗昌の死によって、松平忠昌以来続いてきた福井松平家の男系血筋は途絶えることとなりました。

宗昌の生涯と家系

松平宗昌の生涯は、若き日の家督相続、高齢での本家相続、そして養子相続という、数々の出来事に彩られています。彼の治世は、福井藩の安定と存続に貢献した一方、男系家系の断絶という歴史的転換点をもたらしました。宗昌の死後、福井藩は養子である宗矩の治世の下、新たな時代へと歩みを進めていきました。

系譜

父: 松平昌勝
母: 葉津（中根氏）
養父: 松平吉邦
正室: 菊姫（小笠原忠雄の養女、松平頼元の五女）
側室: 杉山氏
女子: 勝姫（隔芳院/融芳院、毛利宗広正室）
* 養子: 松平宗矩（1715年-1749年） - 松平知清の次男

松平宗昌の生涯は、江戸時代の大名家の盛衰、そして家督相続における複雑な政治的駆け引きを物語る重要な事例となっています。

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