松平頼謙

松平頼謙（まつだいら よりかた）は、江戸時代中期の大名であり、伊予西条藩の6代藩主を務めました。官位は従四位下・侍従、式部大夫、左近衛権少将に叙されています。

略歴

宝暦5年（1755年）3月7日、和歌山藩主・徳川宗将の六男として誕生しました。母は江戸幕府の御書院番を務めていた前田氏の妹・於安。幼名は金十郎と名付けられました。

安永4年（1775年）2月3日、頼謙の人生における転機が訪れます。和歌山藩主であった次兄・徳川重倫が隠居することになったのです。重倫の子である岩千代（後の徳川治宝）はまだ幼少であったため、代わりに叔父で先代藩主の松平頼淳（徳川治貞）が和歌山藩主として転出することとなりました。それに伴い、重倫の弟である金十郎、後の頼謙が、頼淳の養嗣子という形で、同日西条松平家の家督と西条藩主の座を継承することになったのです。

藩主となった頼謙は、藩政に尽力しました。安永7年（1778年）には、郡奉行の竹内立左衛門に命じ、加茂川や中山川の治水工事などを進めさせ、禎瑞新田を開発しました。これらの事業は、領民の生活を安定させ、藩の財政を豊かにすることに貢献しました。

寛政7年（1795年）8月7日、長男である頼看に家督を譲り、隠居しました。そして文化3年（1806年）9月2日、52歳でその生涯を閉じました。

系譜

父：徳川宗将（1720-1765）
母：於安 - 前田氏の妹
正室：菊亭家
側室：永石氏
長男：松平頼看（1774-1797）
次男：本多忠顕（1776-1838） - 本多忠典の養子
三男：松平頼啓（1785-1848）
生母不明の子女
女子：鑑 - 小出英筠正室
次女：於津 - 銉、相良頼徳正室
女子：錫 - 阿部正精継室
女子：内藤政偏正室

松平頼謙は、和歌山徳川家から西条松平家へと養子に入り、藩主としてその責務を果たした人物です。治水事業や新田開発など、領民のための政策を実行し、藩の発展に大きく貢献しました。彼の功績は、今もなお語り継がれています。

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