松平頼豊

松平頼豊：高松藩を支えた藩主、徳川宗堯の父

松平頼豊（まつだいら よりとよ）は、江戸時代中期に活躍した大名であり、讃岐高松藩の第3代藩主です。彼は、高松藩の財政再建に尽力する一方で、領民への負担軽減を図るなど、バランスの取れた藩政運営を行いました。また、水戸藩主となる徳川宗堯の実父としても知られています。

生涯

延宝8年（1680年）に、松平図書家当主・松平頼章の次男として高松で生まれました。父の死去に伴い、貞享4年（1687年）に図書家の家督を相続しました。元禄17年（1704年）には、藩主・松平頼常の隠居により、その養嗣子として高松藩主の座を継承しました。

藩主就任後、頼豊は将軍世嗣・徳川綱豊の諱を避けて一時的に頼保と改名しましたが、後に頼豊へと戻しました。在任中は、風水害や流行病、享保の大飢饉など、様々な困難に見舞われ、藩財政は逼迫しました。そのため、藩士の知行を削減するなどの財政再建策を実施しましたが、同時に生活に困窮する領民に対しては租税を軽減するなどの救済措置も行っています。

享保20年（1735年）に江戸で亡くなりました。享年56歳でした。

家族

頼豊には多くの子女がおり、そのうち長男の徳川宗堯は水戸徳川家を相続しました。また、別の息子である頼治を嫡男としましたが早世したため、大膳家当主・松平頼煕の息子である頼桓を婿養子として迎え、後を継がせました。

正室は正親町実豊の娘・豊子（栴檀院）、側室は喜智（西御部屋）、連津（山本氏）、紺（中村氏）、津耶（岡氏）、隆（森田氏）、里世（太田氏）、理佐（澤田氏）、須女（森田氏）、萬里（杉山氏）、小笠原氏、古橋氏がいました。

多くの子女がおり、富姫は榊原政祐と婚約、金姫は鎌倉英勝寺の住持となるなどしています。

試し斬りの慣習廃止

『盛衰記』には、頼豊以前は藩主が幕府から死罪人を貰い受けて試し斬りを行う慣習があったものの、頼豊が藩主となって以降、幕府がこの慣習を廃止したため、高松藩だけでなく他の藩でも行われなくなったと記されています。宝永年間の出来事とされています。

松平頼豊は、藩政における手腕と、徳川宗堯の父としての側面を持つ、江戸時代中期における重要な人物の一人です。彼の治世は、高松藩の歴史において、困難な時代を乗り越え、次世代へと繋ぐ重要な時期であったと言えるでしょう。

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