正親町実豊

正親町実豊（おおぎまち さねとよ）

正親町実豊は、江戸時代前期に活躍した公家です。

経歴

正親町実豊は、正親町季俊（正四位上参議）の子として生まれました。母は木村勝盛（従五位下越前守）の娘です。元和7年（1621年）に叙任され、公家としての道を歩み始めました。寛永10年（1633年）には元服し、従五位上侍従に昇進しました。

その後、右近衛少将、右近衛中将、蔵人頭といった要職を歴任し、正保元年（1644年）には参議に任じられ、公卿の仲間入りを果たしました。さらに中納言を経て、明暦2年（1656年）には従二位権大納言にまで昇りつめましたが、万治元年（1658年）に辞任しました。

寛文4年（1664年）から寛文10年（1670年）にかけては、武家伝奏という幕府との交渉役を務めました。実豊は、霊元天皇の教育係であった三条西実教から和歌や有職故実の指導を受けており、行動を共にすることも多かったようです。

しかし、天皇が成長するにつれて、後水尾法皇や江戸幕府からの信任が厚い実教や、彼と親しい実豊を疎んじるようになります。また、公家社会の中でも、彼らの勢力拡大を警戒する動きが現れました。寛文9年（1669年）に入ると、天皇の命を受けた小倉実起・久我広通らが、実教と実豊を排除しようと画策し、後水尾法皇や京都所司代の板倉重矩に働きかけました。この時は、板倉や中院通茂の説得により、天皇も一旦は退きましたが、このことがきっかけとなり、実教は蟄居を命じられ、実豊も翌年には武家伝奏を更迭されるという事態に発展しました。

後水尾法皇が崩御し、霊元天皇が親政を開始すると、実豊は親幕派と見なされ、天和3年（1683年）より蟄居を命じられました。その後、天皇の譲位とともに赦免されています。元禄16年（1703年）に薨去。享年85歳。家督は子の正親町公通が継ぎました。娘には、柳沢吉保の側室となった正親町町子がいます。

系譜

父：正親町季俊
母：木村勝盛の娘
妻：藤谷為賢の娘
男子：正親町公通（1653-1733）
男子：正親町公綱
男子：正親町公廉
男子：正親町季親
男子：承頥
男子：中山篤親（1656-1716）
男子：賢証
女子：栴檀院 - 松平頼豊室
女子：久子 - 中川久忠室
* 女子：町子（1676-1724） - 柳沢吉保側室

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