松戸競馬場

松戸競馬場の歴史

松戸競馬場（まつどけいばじょう）は、1907年から1919年にかけて千葉県松戸市で運営されていた競馬場です。現在その跡地には、聖徳大学や松戸中央公園などが立地しています。

設立の背景と初期の運営

松戸競馬場は、馬券黙許時代に当たる1907年に総武競馬会によって開場されました。この競馬場は当初、狭い土地に急カーブの走路を持ち、施設や運営に関しては粗末さから批判を受けることが多かったのです。また、馬券の払い戻しに不正が多く、多くの騒動を引き起こしました。

競馬運営における不正の影響で、松戸競馬場は観客からの信頼を失っていくこととなります。1908年には馬券が禁止され、この競馬場は補助金競馬時代に移行しました。その結果、運営主体である総武競馬会は社団法人松戸競馬倶楽部に改称され、競馬を続けました。

競馬場の設立と運営の苦労

松戸競馬場が設立された1907年には、競馬は全国的に広がり始め、松戸でも競馬場の建設が急ピッチで進められました。しかし、物理的に狭隘な丘陵地にコースを作ることは困難であり、多くの選手が難所で落馬する事態も発生しました。実際、当時の新聞には「不埒千万松戸競馬会」との批判が掲載されるほどでした。施設としては、メインスタンドも他の競馬場に比べて劣悪でした。

開催と不正の横行

松戸競馬場での競馬は、初回の1907年に開催されました。4日間のレースには多くの馬が出走しましたが、開催の背後には不正が頻発していました。競馬会の人間による馬券の改ざんや払い戻しの拒否は多く報じられ、観客は不満を募らせていきました。

競馬の開催日には、特に観客の熱狂が見られ、観客を惹きつけるために臨時列車まで運行されました。しかし、観客の熱意に反し、運営主体が経営面での健全性を欠いていたことが、競馬場の評判を落とす要因となりました。

馬券禁止とその後

1908年、馬券の禁止が発表されることとなり、松戸競馬場はさらなる困難に直面しました。これにより、観客は減少し、松戸競馬倶楽部は毎年春と秋に合計6日間の開催を行うことになりましたが、競馬の盛り上がりはありませんでした。

競馬場の移転

最終的に、1919年に日本陸軍が松戸競馬場を接収し、陸軍工兵学校に転用されることが決定されました。これにより、松戸競馬倶楽部は移転を余儀なくされ、新たに中山村に競馬場を設立し、中山競馬倶楽部へと改称しました。1930年代には、政府により馬券が解禁されてようやく競馬の流行が復活するのです。

まとめ

松戸競馬場は、地方の競馬場としてその名を知られる存在でしたが、多くの不正や運営の問題により短命に終わりました。競馬が誇る興奮と魅力の裏には、いくつもの試練と誤りが潜んでいたことを物語っています。過去の競馬場の歴史を理解することは、現代競馬の発展を見守る上でも重要な視点となるでしょう。

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