松戸覚之助

松戸覚之助：二十世紀梨の発見者

松戸覚之助（1875年5月24日 - 1934年6月21日）は、明治から昭和にかけて活躍した梨農家であり、「二十世紀梨」の発見者として知られています。彼は千葉県葛飾郡大橋村（現在の松戸市）で生まれ育ち、梨栽培に情熱を注ぎました。

生涯と二十世紀梨の発見

覚之助が梨栽培に興味を持ったのは11歳の時、父親が新たに梨の栽培を始めたことがきっかけでした。高等小学校2年（13歳）の時、分家の石井佐平の家を訪れた際、ゴミ捨て場に芽を出している梨の苗木を見つけます。その苗木に可能性を感じた覚之助は、石井から譲り受けて自宅に植えることにしました。

その後、彼は試行錯誤を重ね、1898年、23歳の時にその苗木が初めて結実しました。実った梨を試食したところ、その多汁で甘く、肉質の柔らかい食味が評価され、評判を聞いた大隈重信も試食し、絶賛しました。当初、覚之助はこの梨を「新太白」と命名しましたが、1904年に覚之助から苗木を分けて貰い育てていた渡瀬寅次郎が、東京帝国大学の池田伴親と相談し、この梨を「二十世紀梨」と命名することを提案しました。

覚之助は、渡瀬寅次郎をはじめとして新種の苗木を希望する梨農家に快く苗木を分け与えたため、二十世紀梨は全国的に普及していきました。1910年には日英大博覧会で名誉賞を受賞し、その品質の高さが広く認められました。その後も覚之助は、二十世紀梨の普及に尽力し続けました。

晩年と遺産

覚之助は1934年に生涯を閉じましたが、彼の功績は後世にまで語り継がれています。彼の死の翌年、覚之助が育てた原木は天然記念物に指定されました。しかし、太平洋戦争中の空襲によって原木は損傷を受け、1947年に枯死してしまいます。戦後、覚之助の農園周辺は彼の業績を記念して「二十世紀が丘」（後に細分化され二十世紀が丘梨元町となる）という地名となり、枯死した原木の一部は松戸市立博物館に市指定文化財として保管されています。

二十世紀梨は、そのみずみずしさと上品な甘さで、今も多くの人々に愛されています。松戸覚之助の情熱と努力が、今日の日本の果樹栽培に大きな足跡を残したことは間違いありません。

関連項目

北脇永治 - 鳥取での二十世紀梨の栽培・普及に尽力した農家

参考文献

『千葉大百科事典』（千葉日報社、1982年）

外部リンク

二十世紀梨の発見と松戸覚之助（大淀町果樹組合）
二十世紀梨の記念碑

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