高等小学校

高等小学校について

高等小学校（こうとうしょうがっこう）は、明治維新から第二次世界大戦前の日本において存在した教育機関であり、後期初等教育と前期中等教育を担っていました。「高等科」や「高小」とも呼ばれ、現在の中学校1年生および2年生に相当する教育段階を提供しました。

歴史的背景

高等小学校の歴史は1886年に始まります。この年に施行された小学校令第1次により、修業年限4年の尋常小学校と、高等小学校が同時に設立されました。尋常小学校での4年間が義務教育期間とされており、その後の高等小学校の4年間は必修ではありませんでした。高等小学校の入学対象は10歳からで、修了時には14歳に達します。また、1クラスの生徒数は60人以下に制限されていました。

学費は主に授業料や寄付金によって賄われ、必要に応じて地方自治体からの補助が行われました。1890年、1899年、そして1900年にわたり、小学校令の改正があり、高等小学校の修業年限が2年から4年までの選択制に変更されるなど教育制度が見直されました。1910年代には義務教育期間の延長が検討され、尋常高等小学校の導入が促進されました。

戦後の改革

1941年には国民学校令が施行され、高等小学校は国民学校の高等科に改編され、最終的には1947年に学制改革が実施され、新制中学校となりました。これにより高等小学校は制度的に消滅しました。

授業やカリキュラム

高等小学校における教育カリキュラムは、尋常小学校に加えて、手工や実業、女子生徒向けの家事が新たに加えられました。ただし、高等小学校はあくまで初等教育の一環であるため、同年代の旧制中等教育学校が英語や漢文を学ぶ一方で、高等小学校では主に算数を中心に学んでいました。

進学率と進路

1936年の時点で、尋常小学校の卒業生の66%が高等小学校に進学しました。また、旧制中等教育学校に進学しなかった生徒も多く、ここでの教育が進学予備校的な役割を果たしていました。しかし、卒業生の多くはその後就職や家業を継ぐ道を選び、また一部は師範学校へ進学しました。

特に、経済的な理由から旧制中学校への進学を断念した優秀な生徒が師範学校に進むケースも多く見受けられました。例えば、水木しげるは高等小学校に進学したものの、その後も旧制中学校には進めず職に就くことになりました。

結論

高等小学校は、日本の教育体系の中で重要な役割を果たした制度であり、多くの生徒に基本的な教育を提供しました。戦前の複雑な教育制度の中で、その存在は多岐にわたり進学や職業選択に影響を及ぼしました。

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