松方冬子

松方冬子（1966年 - ）は、日本近世史を専門とする日本の歴史学者です。現在は東京大学史料編纂所教授を務めています。旧姓名は徳川冬子。

略歴

松方冬子の父は言語学者で元学習院大学文学部教授の徳川宗賢、母は物理学者で東京工芸大学名誉教授の徳川陽子という学術一家に生まれました。

1988年に東京大学文学部国史学科を卒業。学部時代には皇太子妃（現在の今上天皇の妃）候補に名前が挙がったこともありますが、研究者の道を選び、東京大学大学院人文科学研究科修士課程を経て、1993年に同博士課程を中退しました。

1993年より東京大学史料編纂所助手、2006年助教授、2007年准教授と昇進。オランダ風説書に関する研究に取り組み、2008年には『オランダ風説書と近世日本』で角川源義賞を受賞。同年4月、東京大学より博士（文学）の学位を授与されました。博士論文の題は「オランダ風説書と近世日本」です。また、『オランダ商館日記』の編纂にも携わっています。

夫は情報工学者の松方純（1957年 - 2007年）。松方正雄（松方正義の四男）の曽孫で、国立情報学研究所准教授を務めていました。

著書

『オランダ風説書と近世日本』（東京大学出版会） 2007
『オランダ風説書 - 「鎖国」日本に語られた「世界」』（中公新書） 2010

編著

『別段風説書が語る19世紀：翻訳と研究』（東京大学出版会） 2012
『日蘭関係史をよみとく 上巻』（臨川書店） 2015 - 下巻はフレデリック・クレインス編
『国書がむすぶ外交』（東京大学出版会） 2019
『一九世紀のオランダ商館』上・下（編者代表、日蘭交渉史研究会訳、東京大学出版会） 2021
* 『オランダ語史料入門 日本史を複眼的にみるために』（東京大学出版会） 2022

松方冬子の研究は、近世日本の国際関係、特にオランダとの交流史において重要な貢献を果たしています。オランダ風説書という史料を通して、当時の日本が世界情勢をどのように認識していたのか、また、それが日本の社会や文化にどのような影響を与えたのかを解明しようとする研究は、日本史研究に新たな視点をもたらしています。

松方冬子のホームページ

もう一度検索