松本安市

松本 安市（まつもと やすいち）

松本安市は1918年5月25日に福岡県久留米市で生まれた日本の柔道家です。彼の柔道のキャリアは、段位講道館8段を持ち、数々の大会で優秀な成績を収めることで輝きを放ってきました。1940年の昭和天覧試合では準優勝を果たし、1948年には第1回全日本選手権大会で見事に優勝を飾りました。その後も天理大学などで柔道の指導にあたり、1964年の東京オリンピックでは日本代表の監督を務め、柔道界の発展に寄与しました。

経歴

学生時代の柔道との出会い

松本の柔道との関わりは、福岡県中学明善校に入学した際に始まりました。当初はバレーボール部に所属していましたが、強引な勧誘を受けて柔道を嫌々始めることになります。1937年4月、武道専門学校に入学しますが、解放感から酒に溺れ、結核を患い一時は故郷に帰ることになります。しかし、復帰後には柔道に対して真摯に取り組み、特に大外刈の技に磨きをかけていきました。

戦後の活躍

戦後の1946年に6段位を取得した松本は、福岡県柔道協会の設立に参加し、個人戦や団体戦において数々の戦績を残します。1948年の全日本選手権大会では、決勝戦で伊藤徳治を破り、日本一の座を手に入れました。その後も警察官としての側面も持ち、柔道の普及活動を行い、数々の大会で福岡県を優勝に導くなど、活躍は目覚ましいものでした。

指導者としての業績

1953年には国家地方警察を退職し、天理大学の初代柔道師範に就任します。彼の指導のもと、天理大学の柔道部は急成長を遂げ、全日本学生優勝大会などで数々の大会で優勝を果たしました。松本は厳しいスパルタ式の教育で選手たちを鍛え上げ、その指導を受けた選手たちは後のオリンピックメダリストにまで成長しました。

僧侶としての活動と晩年

松本は、厳しい指導だけではなく、選手たちとの信頼関係を重視していました。1964年の東京オリンピックでは、柔道日本代表の監督を務め、4階級中3階級で金メダルを獲得する功績を残します。指導者としての役割を果たしつつ、1971年まで全日本チームの監督を続けました。彼の指導の下で多くの選手が国際舞台で活躍することとなります。

1996年3月6日、松本安市は膵炎によりこの世を去りましたが、福岡県宗像市には「松本安市記念道場」が設立され、彼の功績を後世に伝える場となっています。松本の柔道に対する情熱と努力は、今日の柔道界においても多くの人々に影響を与え続けています。彼の人生は、柔道界での限りない貢献と、後進の育成への情熱で彩られていました。

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