松本昌次

松本昌次の生涯と業績

松本昌次（まつもと まさつぐ、生年1927年10月9日 - 没年2019年1月15日）は、日本の著名な編集者かつ出版者として広く認識されています。彼は東京都で生まれ、東北大学の文学部英文科を卒業した後、まずは高校の教師職を経て、1953年から1983年までの約30年間、未來社に勤務しました。この時期、彼は数多くの著作や翻訳、編集を手掛け、日本の出版業界に多大な足跡を残しました。

未來社での活動

未來社での松本の在籍時代は、日本の戦後文学を紹介するための重要な成果を見出した時期でもありました。特に、1970年から1981年にかけて彼が関わった全7巻の『金日成著作集』は大きな影響を与えました。このプロジェクトは、朝鮮総連の刊行委員会が日本語版の翻訳と編集を手がけ、松本はその編集権を一時放棄する形で、介入は行わなかったと言われています。この決定は日本における朝鮮に関する出版にとって大きな意味を持ち、またその際の経済的な支援によって未來社を助ける結果ともなりました。

影書房の創立

1983年、松本は新たに影書房を創業しました。この出版社では、彼の編集者としての経験が生かされ、多くの重要な作品が世に送り出されました。特に、彼が著者としても活動することで、自身の視点や考えを直接読者に届ける機会を持ちました。

著作と共著

松本は、編集者としてのみならず、多くの著作も執筆しました。彼の代表的な著作には、1975年に出版された『朝鮮の旅』や、1979年の『ある編集者の作業日誌』があります。さらに、1994年には『戦後文学と編集者』、2001年には『戦後出版と編集者』、2016年には『戦後編集者雑文抄 追憶の影』を出版しました。彼の遺著である『いま、言わねば 戦後編集者として』は、2019年に発表され、彼の業績や思索の集大成ともいえる作品です。また、共著や編著も多数あり、2008年には『わたしの戦後出版史』が、2009年には他の著者との共編により、いくつかの書籍が刊行されました。

解説や注釈

松本はまた、解説を執筆することでも広く知られています。吉本隆明の『芸術的抵抗と挫折』に関する解説を担当し、この作品は「こぶし文庫 戦後日本思想の原点」の一環として2012年に出版されました。彼の作品は、戦後の日本における編集の歴史や文学的潮流を理解するための貴重な資料となっています。

幼少期と晩年

91歳で亡くなった松本昌次ですが、彼の遺した業績は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。生涯を通じて出版の現場に身を置き、彼自身の経験や視点を反映した作品は、今後も多くの読者に読み継がれていくことでしょう。彼の歩みからは、出版の重要性や、編集者としての観点からの作品作りの大切さを学ぶことができます。

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