松本電気鉄道3000形電車

松本電気鉄道3000形電車

松本電気鉄道3000形電車は、1999年（平成11年）に松本電気鉄道（現・アルピコ交通）が導入した通勤形電車です。上高地線の主力として活躍しましたが、後継車両の導入により、2022年から順次引退しています。

導入の経緯

1986年（昭和61年）の上高地線昇圧後、同線では東京急行電鉄5000系を改造した5000形が使用されていました。しかし、車両の老朽化や非冷房であることから、代替車両が必要となりました。そこで、当時京王電鉄で1000系導入により余剰となっていた3000系を譲り受け、改造・整備した上で導入されました。

運用と変遷

1999年10月、2両編成2本（4両）が上高地線で運転を開始しました。翌2000年にはさらに2編成（4両）が追加導入され、5000形は引退しました。しかし、2021年8月には大雨により田川橋梁が被災し、3003-3004編成が一時的に松本駅に取り残される事態となりました。

2022年からは、東武20000系を改造した20100形の導入が始まり、3000形は順次引退することになりました。当初は3003-3004編成が引退予定でしたが、落雷事故により3001-3002編成が先に引退、2022年11月に解体搬出されました。その後、2024年2月には3007-3008編成、同年9月には3005-3006編成も引退し、解体されました。

車両の構造

3000形は、全車が中間車から先頭車へ改造された車両で、以下の形式で構成されています。

モハ3000形：3001・3003・3005・3007（元京王デハ3100形）
クハ3000形：3002・3004・3006・3008（元京王デハ3050形）

4編成8両全てが2両編成で、運転席後ろの窓が特徴的です。モハ3000形は、長野県の私鉄では初の界磁チョッパ制御車となりました。

改造内容

ワンマン運転対応（運賃箱、案内表示機、運賃表の設置）
アルピコカラー（白をベースに紫・ピンク・山吹・緑・赤のダイナミックストライプ）
京王6000系廃車発生品のT字型ワンハンドルマスコン採用
車いすスペース設置
転落防止幌の設置
霜取り用パンタグラフの設置（クハ3004・3008）


特に3003-3004編成は、京王時代に事故復旧で車体を新製しており、ドアの形状が混在する特徴がありました。正面デザインは京王3000系リニューアル車に準じたものとなっています。

編成表

各編成の詳細は以下の通りです。


クハ3000形の霜取り用パンタグラフは3004・3008の前位側に搭載されています。レール塗油器は3002・3006に設置されています。なお、過去の資料ではクハ3006と3008の元車両が誤って記載されていたことが判明しており、実際はクハ3006が元デハ3057、クハ3008が元デハ3056である可能性が高いです。

ラッピング・特別編成

なぎさTRAIN

2013年3月20日から、3005-3006編成には上高地線イメージキャラクターの「渕東なぎさ」をラッピングした「なぎさTRAIN」が運行されました。この車両は、テレビアニメ『SHIROBAKO』にも登場しています。2023年10月27日に一旦運用を離脱しましたが、2024年4月5日に復帰。2024年11月3日に定期運用を終え、17日の団体臨時列車をもって完全引退しました。

モハ10形リバイバルカラー

2017年6月3日からは、3003-3004編成が、かつて上高地線で使用されていたモハ10形電車のカラーリングを再現したラッピング車両として運行されました。この編成も一時休車期間がありましたが、2024年8月20日に定期運用に復帰しました。

大雨災害による影響

2021年8月の大雨で上高地線の一部区間が不通になった際、3003-3004編成が松本駅に取り残されました。当初は廃車予定でしたが、落雷で3001-3002編成が廃車になったことや、車両の状態が良好だったことから、整備・復旧を経て営業運転に復帰しました。

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