松村蒼石

松村蒼石（まつむら そうせき）は、1887年10月2日に滋賀県蒲生郡清水鼻（現在の東近江市）で生まれた俳人です。本名は増次郎（ますじろう）といいます。13歳で京都の織物問屋に奉公に出た後、17歳頃から新聞の俳句欄に投句を始めました。しかし、1906年に東京の支店に勤務することになり、作句を一時中断しました。

関東大震災で被災したことをきっかけに、作句を再開。当初は「鹿火屋」「枯野」といった句誌に投句していました。その後、1925年に俳誌「雲母（うんも）」に入会し、飯田蛇笏（いいだ だこつ）と飯田龍太（いいだ りゅうた）に師事しました。

戦後には、自身の俳誌「玉虫（たまむし）」を発行し、後進の育成にも尽力しました。「雲母」では、1966年と1973年の二度にわたり山廬賞を受賞。1973年には、句集『雪』をはじめとする長年の業績が認められ、第7回蛇笏賞を受賞しました。

松村蒼石の句は、自然の風景や日常のさりげない一瞬を捉え、独特の視点と繊細な表現で読者の心を揺さぶります。代表句の一つである「たわたわと薄氷に乗る鴨の脚」は、冬の情景を鮮やかに描き出し、多くの人に親しまれています。

主な句集には、1950年刊行の『寒鶯集（かんおうしゅう）』、1960年刊行の『露（つゆ）』、1967年刊行の『春霞（はるがすみ）』、1972年刊行の『雪（ゆき）』、1975年刊行の『雁（かり）』などがあります。これらの句集には、松村蒼石の俳句に対する情熱と、独自の境地が示されています。

松村蒼石は、1982年1月8日に94歳でその生涯を閉じましたが、彼の残した数々の俳句は、今もなお多くの人々に愛され、読み継がれています。その俳句は、日本の俳句文化において重要な位置を占め、後世の俳人に大きな影響を与え続けています。

1887年 - 滋賀県に生まれる。
1906年 - 作句を中断。
1925年 - 「雲母」に入会。
1966年 - 「雲母」にて山廬賞を受賞。
1973年 - 「雲母」にて山廬賞を受賞。
1973年 - 第7回蛇笏賞を受賞。
1982年 - 死去。

主な句集

『寒鶯集』(1950年)
『露』(1960年)
『春霞』(1967年)
『雪』(1972年)
『雁』(1975年)

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