飯田龍太

飯田 龍太について

飯田龍太（いいだりゅうた、1920年7月10日 - 2007年2月25日）は、山梨県出身の日本の俳人であり、戦後の俳壇において重要な役割を果たした人物です。彼は著名な俳人である父、飯田蛇笏の四男として生まれました。龍太は「雲母」という俳誌を主宰し、伝統俳句を継承しながら、新たな表現を探求しました。

生い立ちと教育

山梨県の五成村沿いの小黒坂で育った龍太は、病弱であったため早くから祖母に育てられました。1927年に境川尋常小学校に入学し、1933年には甲府市の旧制中学校に進学します。中学時代にはトルストイ作品を読み、火災予防標語のコンテストで入賞した経験があります。卒業後、高等学校の受験に失敗し、上京して予備校に通うことになります。1938年に甲府中学を卒業し、國學院大学に入学。その頃から句作を始めました。

過酷な青春と戦争

1941年、龍太は肺の病を理由に一時帰郷しますが、1942年には兄を病で失い、1943年には再度帰郷して手術を受けます。これらの過程で、彼は兵役を免除されます。戦中は農業に専念し、牛を使った耕作を行い、1947年の國學院大學卒業後は「雲母」の編集に携わります。

俳人としての活動

1954年に第一句集『百戸の谿』を出版したことを皮切りに、彼は数多くの句集を発表します。以後、俳句の分野で数多くの賞を受賞し、その名声を高めました。特に、1969年に出版した『忘音』は第20回読売文学賞を受賞し、他の多くの作品でも評価を受けました。彼の作品は、故郷の自然や風景を描写し、特有の感性と深い見識を反映させています。

井伏鱒二との交流

飯田龍太は作家の井伏鱒二との関係も深く、1952年に井伏と初めて出会ってから、両者の交流は40年以上にわたりました。彼らの間には多くの往復書簡が交わされ、自然や文芸生活に関する話題など多岐にわたる内容が記されています。このような交流も、龍太の創作活動に多大な影響を与えたことでしょう。

俳句の特徴

彼の代表句の一つには「紺絣春月重く出でしかな」があり、その詩的な表現が特徴的です。なお、龍太は抽象的で象徴的な表現を用いた作品もあり、特に「一月の川一月の谷の中」は賛否が分かれる著名な句として挙げられています。この句からは、彼の独特な視点や感受性が窺え、現代俳句の重要な試みとされてきました。

最晩年と永遠の影響

晩年の飯田龍太は、文芸活動を続けつつ、2007年に肺炎で亡くなるまで、俳句の世界に多くの影響を与えました。彼の作品や彼によって継承された伝統は、後世の俳人にとっても貴重な財産とされています。龍太が築き上げたその道は、今なお多くの人に愛され、影響を与え続けているのです。

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