松樹剛史

松樹剛史は、1977年に日本の静岡県に生まれた小説家です。大正大学文学部日本文学科で学び、文学の素養を深めました。男性作家として、主にエンターテインメント小説の分野で活躍しています。

彼の作家としてのキャリアは、2001年に大きな転機を迎えました。この年、騎手を主人公とした作品『ジョッキー』で、第14回小説すばる新人賞を受賞したのです。この栄えある受賞は、松樹剛史の才能を広く知らしめ、文壇への道を切り開きました。

受賞作となったデビュー作『ジョッキー』は、読者からの熱狂的な支持を得て、書籍として10万部を超える異例のベストセラーとなりました。その人気は小説という枠を超え、2010年から2011年にかけてはYahoo!コミックのウェブマガジン「EDEN」にて漫画化されるなど、多角的なメディア展開も行われ、多くの人々に作品が届けられました。

『ジョッキー』以降も、松樹剛史は精力的に創作活動を続け、次々と意欲的な作品を発表しています。彼の作品世界は多岐にわたりますが、特にスポーツを題材とした作品に特徴が見られます。『スポーツドクター』では医療従事者の視点からスポーツ界を描き出し、『ソウル・オブ・フット』では情熱的なサッカーの世界を舞台に物語を紡いでいます。これらの作品では、競技に真摯に向き合う人々の心理や葛藤が丁寧に描かれ、読者に深い共感と感動を与えています。

また、彼の筆致は青春期の繊細な感情や人間関係を描くことにも長けており、『GO-ONE』や『エアエイジ』といった作品で、若者の揺れ動く心模様や成長の軌跡を描き出しています。児童文学の分野にも活動の幅を広げ、ポプラ社から刊行された『きみはジョッキー』シリーズは、若い読者にも彼の世界観を届けることに成功しています。

作家活動の一環として、複数のアンソロジーにも作品を寄稿しています。ミステリーや特定のテーマに沿った作品集に参加することで、彼の短編作家としての才能も示されています。例えば、『COLORS』というアンソロジーには短編『真っ黒星のナイン』が、『Over The Wind』には『競馬場のメサイア』がそれぞれ収録されています。これらの作品集への参加は、彼の作風の多様性を示唆しています。

2010年12月時点の情報によれば、彼は集英社の文芸誌「小説すばる」にて『シックスティーン・ビート』という作品をシリーズ連載していました。これは、彼の創作活動が単行本刊行のみにとどまらず、継続的な物語の探求にも向けられていたことを示しています。

松樹剛史の作品は、それぞれの分野におけるリアリティを追求しつつ、登場人物たちの内面に深く迫る描写が魅力です。スポーツの持つドラマ性、青春時代の輝きと悩み、人との繋がりなど、普遍的なテーマを扱いながらも、独自の視点と筆致で読者を引きつけます。

以下に、彼の主な著書とアンソロジー参加作品をまとめます。

著書

『ジョッキー』 (単行本 2001年12月 / 文庫 2005年1月)
『スポーツドクター』 (単行本 2003年8月 / 文庫 2005年10月)
『GO-ONE』 (文庫 2007年1月)
『きみはジョッキー』 (文庫 2010年7月)
『きみはジョッキー 勝利へのラストスパート』 (文庫 2011年1月)
『ソウル・オブ・フット』 (単行本 2010年11月)
『エアエイジ』 (文庫 2012年2月)

アンソロジー参加作品

『真っ黒星のナイン』 (アンソロジー『COLORS』収録 単行本 2008年4月 / 文庫 2009年10月)
『競馬場のメサイア』 (アンソロジー『Over The Wind』収録 単行本 2009年4月)

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きみはジョッキー（WEBマガジン ブンゲイ・ピュアフル）
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