松永俊国

松永俊国の生涯と全日本女子プロレスへの貢献

松永俊国（まつなが としくに、1944年 - 2002年）は、日本の女子プロレス団体「全日本女子プロレス」（全女）の経営者として知られる。本名である松永俊国の名でレフェリーとしても活躍し、プロレス界に大きな影響を与えた。彼は松永健司、松永高司、松永国松と共に「松永四兄弟」の一員であり、経営陣の一角を担った。

生い立ちと家族の背景

松永俊国は1944年に父・松次郎と母・トヨの元に生まれ、5人兄弟の末っ子として育った。戦時中の疎開先で生まれたため、出生時の詳細な記録は残っていない。1951年に父親が病気で亡くなった後、家族は貧しい生活を余儀なくされ、彼の兄妹は姉の導きで女子プロレスの世界に入ることになった。

格闘技の世界へ

松永家の兄弟たちは、皆柔道を習い、目黒区の道場で腕を磨いた。俊国は特に若い頃から活発で、柔道の道場で学ぶ傍ら、姉の発案で柔拳試合にも参加。その経験が後に女子プロレスへの道を開くこととなった。しかし、兄弟たちは試合に出ることで講道館からの破門処分を受け、ボクシングも経験することとなった。

全日本女子プロレスの設立

1968年、松永兄弟と他の関係者によって全日本女子プロレスが旗揚げされた。俊国は常務取締役として、レフェリーや選手バスの運転手、さらには試合当日のチケット販売員といった多岐にわたる役割を果たした。スタッフからはその風貌から「ヤクザ者」と見られつつも、彼のユーモラスな一面が語られ、親しまれていた。

経営と運営方針

俊国は常に兄弟間の意見の対立に巻き込まれながらも、経営や運営に尽力した。特に全女のテレビ中継路線を推進しようとする一方で、保守的な意見もあり、兄との対話を重ねながら団体の方針を決めていった。その中での彼の努力が、全女の成長に寄与したことは間違いない。彼は必要な時には自己の資産を動かして資金を工面し、全女の運営に貢献した。

レフェリーとしての役割

俊国は全女の審判部長としても知られ、名試合において重要な役割を果たした。特に「北斗晶 対 神取忍」の一戦においてレフェリーを務め、左肩を脱臼した北斗の肩を整復したことでも知られている。俊国の審判としての冷静さと技術は、ファンや選手からの信頼を集めた。

晩年と死去

晩年、彼の健康状態は悪化し、最終的には伊豆での素潜り中に事故に遭う。その後、病院に行かずに一人で就寝している時に窒息死するという不幸な最期を遂げた。享年57歳。親族やファンからは深い悲しみが広がり、葬儀では多くの人々がその業績を称えた。

遺産と近年の動向

彼の没後も松永家は引き続き女子プロレス界での存在感を強めており、近年では松永俊国を題材にしたドラマが放送されるなど、名声は歴史の中で語り継がれている。彼の影響は今なお女子プロレス界に色濃く残り、多くの人に愛され続けている。

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