松江電灯

松江電灯株式会社の歴史

松江電灯株式会社は、明治後期から大正時代にかけて存在した日本の電力会社で、島根県における最初の電気事業者でした。1895年に松江市で開業し、地域住民に電気を供給する役割を担いました。

設立と初期の営業

松江電灯の起業は1890年頃に始まり、1894年には電気事業許可を取得。1895年4月16日、資本金35,000円で正式に設立されました。初代社長には桑原羊次郎が選ばれ、松江城近くに発電所を設置。最初の発電は大阪電灯から購入した中古の機材で行われ、開業当初は250灯の電灯を供給することからスタートしました。

投資と競争の時代

1899年以降、松江電灯は設備の増強を計画し、城山下にあった発電所を南田町に移転しました。この新発電所の運転開始に伴い、発電能力は109キロワットに向上しましたが、業績は低迷し、1908年に新たな社長が就任することになります。これに対し、同時期に設立された山陰電気が松江市場への進出を図り、松江電灯に対する競争が激化しました。

水力発電の試み

1911年には水力発電に乗り出すことが決まり、松江水力電気株式会社の設立が目指されましたが、その後松江電灯自身が増資し、水利権を取得して北原発電所を建設。この発電所は1912年に竣工し、供給能力を大幅に引き上げることに成功しました。この結果、松江から周辺地域への供給が開始され、照明灯数も前年比2.5倍となるなど、事業は順調に拡大していきました。

出雲電気との合併

1911年には新たな電気事業者である出雲電気が設立され、松江電灯目線でもその合併を図る動きが進んでいきました。最終的に1917年、出雲電気との合併が成立し、松江電灯は解散することに。出雲電気が新たな事業者として島根県の電力供給に携わることとなったのです。

地域との関わり

松江電灯の存在は、地域経済にも大きな影響を与えました。特に、安来鉄鋼との関係が強く、同社が電力供給を受けて製鋼業を営むなど、地域産業の発展に貢献しました。電力供給の拡大を通じ、島根県の産業基盤の強化に寄与してきたのです。

結論

松江電灯株式会社の歴史は、地域の電力供給の革新や、産業発展に寄与した貴重なものでした。出雲電気との合併を経て解散することとなりましたが、その貢献は今なお地域の人々に愛されています。

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